過去ログ - キョン「ペルソナ!」 アイギス「FESであります!」
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68:名無しNIPPER[saga]
2014/12/31(水) 21:05:51.71 ID:gIGEqEoto
頬を指先で掻きながら、男はそう言った。
俺は、記憶の中で、最後に古泉たちを確認した時の様子を思い出す。
思い出す―――までも無く、脳裏に浮かんだのは、跳び箱をコの字に囲むようにして眠る、三人の図。
俺は、冷たい壁を背に、マットの上に座り込んで、入り口に注意を払っていて……あとは、覚えていない。おそらく、眠ってしまったのだろう。
その間に、あいつらが俺を置いてどこかへ行ってしまったのか? と、一瞬考えたが、可能性は低いだろう。ただでさえ、戦力は十分とはいえない状態なのに、何故分裂せねばならんのだ。

となると、眠っているうちにはぐれてしまった。というのが、妥当なところだろうか。
おそらく、朝倉が言うところの空間の歪に飲まれて、俺は用具倉庫から、この、どこだか見当も付かない廊下のど真ん中に隔離されてしまった……下に敷いていたマットごと。
朝倉が、この倉庫の周囲の空間は安定している、とか自信満々に言っていたので、それをそのまま信用した結果がこれだ。あんにゃろうめ。以後、あいつの発言力のほどを検討しなければならない。

「なあ、目が覚めたなら訊きたいことがあんだけど」

俺の思考を、見知らぬ男の声が遮る。

「お前ってぶっちゃけ、何モン? 迷いこんだ一般人なの? それとも……」

そこまで言って、男は言葉を選ぶように、空中に視線を泳がせたあと、

「……もしかしてお前、ペルソナ使えたりとか、する?」

……聞きたかった様な、聞きたくなかった様な。
この混沌空間に放り込まれてから数時間で、いい加減聞き飽きて来たその言葉。
この見知らぬヒゲ学生の口から、その単語が零れ落ちた瞬間、俺はなんとなく、事態が今以上に厄介になろうとしているのだということを感じ、心中で溜息をついた。

「……何者なんだ、アンタこそ」

「その感じだと、使えんのな……やっぱめんどくせー事になってんだな。つか、現地にペルソナ使いがいるなら、俺らが遠征する必要なかったじゃん……」

男は、独り言にしては大仰過ぎる音量でそうぼやき、額に手を当てながら天井を仰いだ。
言葉の選び方がいちいち軽薄な男だ。タイプとしては谷口に近い。


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