10:名無しNIPPER[saga]
2014/12/31(水) 22:38:17.91 ID:4Uq2g65tO
  
  
 「ここはやっぱり、美味しいですねぇ」 
  
 まゆは慣れた手つきで箸を運び、寿司を転がして反面のみに醤油をつけ、ネタを下に食べた。こなれた手つきは美しかった。 
  
 「前に来たことがあるのか?」 
  
 「Pさん、お口にお醤油がついてますよぉ?」 
  
 はぐらかされてしまった。ひどく長い間口を拭われたのち、僕も寿司を口に運んだ。 
  
 「……かっ、からっ!わさび多いって」 
  
 強面の板さんが、申し訳なさそうな顔をして、濃いお茶を無口で差し出した。強すぎる香りで鼻がバカになってたせいで、お茶の香りが何もわからなかった。 
  
 「ありがとうございます。……それにしても、きれいなお店だ」 
  
 「社長が教えてくれたんです。そろそろおあいそしますね」 
  
 「もう?……あっ」 
  
 いきなりに眼前がチカチカと明滅し、水槽で泳ぐイシダイが拡大写真のようにいびつに延びた。板さんの顔も延びて、リトルグレイのようになっていた。 
  
 (こりゃ盛られたな!?) 
  
 意識が文章として明瞭になった瞬間に、視界が暗転した。 
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