過去ログ - バゼット「――私も、貴方の家族にしてください、士郎君」
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1: ◆bU0CD2Homw[sage]
2015/01/03(土) 08:58:45.46 ID:H7PKXE/v0
Fate/hollow ataraxiaの後日談。後のSSです。
人称や口調は出来る限り原作準拠になるよう尽力しますが、原作ではっきりしなかった人称についてはオリジナルになりますのでどうかご容赦ください(例:バゼット→凛 リン)



 冬木市、新都某所。

 日はとっぷりと暮れ、人々は木枯らしから身を守るように体を丸め、足早に帰路に着いている。

 紙幣が一枚と、硬貨が数枚きりの財布の中を見ながら、大きくため息をついた。
 

(……困りましたね)


 新都まで使い走りを頼まれ、意気揚々と繰り出したのも束の間。

 望みの品を苦労して揃えた後、柄にもなく日用雑貨などを買い込んでしまったのが運の尽きだった。

 金自体は唸るほど持っている。

 ただ、今朝方財布を確認したとき、その内容がかなり寂しいことになっていたので、朝食後に補充しておこうと思っていたのだ。

 それが、お使いに必要な経費を収めたことでそのことを失念してしまい、今に至る。

 
(よほど気が緩んでいたのでしょうか……)


 今の自分は、封印指定の執行者どころか、完全無所属のフリー。

 居酒屋で働こうが乞食をしようが、誰にも文句を言われない超自由人なのである。

 ……しかし、仕事一筋に生きてきたので、いざ無期限の暇を得てもすることがない。

 むしろ、労働意欲を持て余して、居ても立ってもいられないくらいだ。


(……そうか、もう私は執行者ではないのですか)

 
 心にぽっかりと穴が空いたような……という感じではない。

 天職ではあったが、楽しい仕事だったかと聞かれれば無論否だ。

 返り血で返り血を洗い、屍の山を築いて回る因果な稼業。

 足を洗うに越したことはないはずだが、自分の中でまだあまり整理がついていない。

 その空白を埋めるかのごとく、半ばヤケ気味に衝動買いを重ねてしまったのだが、その結果がこれである。


(参った……これでは、彼に顔向けできない)


 そもそもの事の発端といえば、夕食後の団欒の最中に放たれた、セイバーの一言だった。



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