過去ログ - タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part2
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前スレ>>987『完璧過ぎた要塞』
[sage saga]
2015/01/04(日) 14:06:51.48 ID:+5YuezBm0
今思うと馬鹿馬鹿しい話だが、私の親友と賭けをした。
実際に何故あんな話を受けたのか、私は不思議でならないが、幼少期からの付き合いで、
ある種、家族言っても全く過言ではない親友の頼むを私は断れもしなかったのだろう。まるでお人好しの阿呆だ。
その賭けの内容と云う物もどうにも曖昧であって、依頼というか子供の夢のような賭けを、私は受けてしまったのである。
単純明快『どれだけ完璧な要塞を作る事が出来るのか』。
私が『完璧な要塞』を作り、彼がそれを攻略する。
最深部にて待つ私の元へ彼が来れば勝負は私の負け、その逆彼が到達出来なければ私の勝ち。
本来そんな荒唐無稽な話をされれば一笑に付されても致し方の無い事だが、しかしその『勝った報酬』というものが如何せん莫大過ぎた。
『使用した土地と要塞に使った料金の五倍を報酬とする』。
――つまり、高級マンションを一つ丸ごと買収すれば、勝った際にマンション一つが私のものになると言う事だ。
荒唐無稽処か明らかに嘘のような話である。信憑性が無さすぎる。
だが、それが嘘ではないと知っている私はすぐさまに飛び付いた。
まさに夢のような現実に手を出し、そして後悔する事となってしまったのだ――
一先ず、真っ先に私は一つ島を買った。
ほどほどに大きい島を一つ――である。
完璧な要塞というのだから巨大迷路のようにヨコが広くなくてはならないだろうし……、
そんな事を言ってしまえば、大きな戦艦か何かでも買って海にぽつんと漂流でもさせれば結構なのだろうけれど、それは脱獄の話だ。
次に島の内部に大きく空間を空け、核シェルターのような分厚さで外装を覆い、次に立体迷路、次に外部と内部の連絡が付かないように電波妨害、
次にトラップを仕掛け、次に某ギャンブラーを連想させる鉄骨渡りや次に絶対零度のルームやある意味初見殺しのようなステージを作り、etc――
そうして作り上げた私の『完璧な要塞』は実に満足の往く結果となった。
そして来るべき日。
彼は立体迷路を始めとした数々の罠を打ち破り、鉄骨も渡り、次々と要塞の各所をクリアしていった。
「ああ、やられた」と心の内で思いつつも少年の様に心躍るような思いで彼の活躍を微笑みつつ眺め、
そして冷凍庫のような場所で監視カメラは彼がこちらに手を振っているのがちらりと見える。
首を傾げつつも彼をズームして様子を窺うと、彼はどうやら体力の限界らしかった。
危ない――と頭で考えつつも、報酬が頭から離れない。
これは負けなのか?どちらの?私は勝ったのか?勝ったのだろう!?
考えて出した結論に頷き、助けに向かう。
逆の通路を必死に渡り、命辛々、彼の元へと辿り着く。
しかし、時既に遅し、彼の命は既に途絶えていた……。
――――それから、一体何日が経過しただろう?今が昼だか夜なのだか、全く分からない。
私は未だに、『完璧な要塞』から抜け出せないで居る。
あれから外の様子を捉えているのは監視カメラのみで、要塞内を映すだけのモニターのある部屋でずっと私は佇んでいた。
彼を探し出さんと、騒がしく人々がわらわらとカメラの内部で動き回ってはまた一人その人数が減る。
今――この場所から動けば、それだけで私は死ぬのだろう。
しかし逆に、ここを動かなければ私は死ぬ事は無いだろう――いや、それでも餓死する事は確実だが。
「ああ、誰か来てくれ」と思う反面、また一人、モニターから消えていく。
そんな現状を見て、『完璧過ぎた要塞』に踏ん反り、私はまたもシニカルに笑う。
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