過去ログ - タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part2
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305:名無しNIPPER[sage saga]
2015/01/19(月) 00:17:06.34 ID:P3WYADlHO
>>303

俺が師と仰いでいるその人は『変人』と名高い人物だ。


「時計って奴はな、只の気紛れで調子が悪くなる子もいるんだ。そういうのは大抵使い方の荒い、碌でもねえ奴が使ってる。そんな奴の為にまた働かそうなんてこたぁ俺にゃ出来ねえ」


彼が仕事を断った後の決まり文句は大抵こうだった。


「僕にゃ違いなんてわからんですがね。センセイ程目利きが出来ないもんで」


俺がこの様なことを言うと彼は毎度この様に返すのだ



「そんなもなぁ、時計が教えてくれらぁ」


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 『時計の光』


「時計が教えてくれやすか。僕にゃとんとわかりませんよ」


「時計はよ、まず声で教えてくれる。弱音を吐いてくれんだな、うん。そんでどこが悪いかってなあ、身体で教えてくれる」


「カラダ……ですかい? 」


「おうとも、時計って奴ぁ、本来は輝いてるもんなんだ。だけどよ、元気のねえ奴ぁ元気のねえとこが弱って見える。お前ももう少しすりゃわからぁよ。」


「そんなもんですかねえ……あ、いらっしゃいませ。はい。はあ、お父様の、火事でねえ。とりあえず診せていただいて……」


――……


「はあ、こいつがそうですかい。……おい、おめえはどう思う? 」


そう尋ねられてどう答えたもんかと俺は思った。見たところ整備不良もなさそうだし、また動きそうなものだ。そんなこと彼ならわかりそうなものだが。


「はあ、これならまだまだ元気に動きそうだなあとは」


「……へっ、そうかい、おめえもまだまだだな。

旦那さん。悪いがこいつはもう動かねえよ。出来たら手厚く葬ってやんなせえ。粗大ゴミなんぞで始末しちゃいけねえよ。じゃ」


そういって彼は出ていった。俺は慌てて追いかける


「センセイ、動かないってのはどういう訳です? 見たところ問題ないようでしたけど。」


「見たからわかんだろうがよ。あいつはもう動かんよ。」


「……例の輝きが、ってやつですかい」


「ああ、あいつはもう死んじまってるな……まあ満足そうな面してたがよ。」


「……面までわかるって言うんですかい? 」


「いや、あんな動きそうもねえ奴が最期の日にゃ鐘鳴らしたんだろ? それでそう思っただけさ」


……くえないセンセイだ。俺がこの域になるのはまだまだ先になりそうだ

―fin―


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