過去ログ - タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part2
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625:名無しNIPPER[sage]
2015/03/23(月) 20:45:41.25 ID:DDx3nea90
>>622 「LIMITED EXPRESS」


目が覚めると、電車の中だった。
寝ぼけた頭で考えた。

ああ、仕事がここのところ忙しくて寝不足だったんだっけ。
電車乗ったのも覚えてないなんて、よっぽどだったんだな。
明日も仕事だし、まだ電車に乗って帰れてるんだから、
帰ったらちゃんと寝よう。


「…電車は、特別…です。」
いやに聞き取りづらい車内放送だ。
でも、いつもの路線に「特別」が付く電車はあったっけ。
たぶん「特別快速」か「特別急行」なんだろうけど、どっちもこの路線にはなかったような。

「…乗り間違えたか?」

普段使う路線は、同じホームに複数路線が乗り入れ、しかも駅全体で行くと
複数路線どころか複数会社の路線が乗り入れる、この地域の主要駅のひとつである。


「次で降りて大丈夫なのか…?」

窓の外は真っ暗だ。
確かに会社を出たのが終電間際だったから、
ちゃんと乗れたとしても最終に乗っているはずの時間だ。
地下鉄でもないのに、外はビルやマンションの明かりどころか街灯すら見えない。
自分がどこにいるかもわからない。

「この電車は、特別急行です。」
「途中駅には止まりませんので、ご注意ください。」

とりあえず、特別急行なのはわかった。
できれば、止まる駅も教えてほしかった。

降りられそうにもないし、最後まで行くとしようか。
明日の仕事はいっそ休んでしまってもいいだろう。
すべき仕事は今日終わらせてきたんだ。
もう仕事はしたくない。



「お客さん、降りたいなら今降りるしかありませんが、いかがなさいますか」
車掌がいつの間にかそばに立っていた。
ぼんやり真っ暗な外を眺めているうちに来ていたらしい。
「降りれるんですか?」

「ええ、降りようと思えば降りられます。」

電車を降りようと思えば降りられるとは、どういうことか。
ちょっと古めかしい懐かしい電車に乗っているし、実はまだ夢の中なのかもしれない。


「じゃあ、このまま最後まで乗ります。」

「そうですか、いくんですか。承知しました、失礼します。」

一礼して車掌は前の方に歩いていった。

さあ、この電車はどこまでいくのだろうか。



―――××線は、人身事故のため、運転を見合わせております。



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