過去ログ - タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part2
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649:名無しNIPPER[sage]
2015/03/28(土) 13:30:34.93 ID:GFjDhtPAO
>>643
「幾奥の世界と唯一無二のキミ」



合わせ鏡、というものを知っているだろうか。

2枚の鏡を平行に立てる。

右の鏡に映った像が左の鏡に映り、その像がまた左に映り……その繰り返しで理論上は無限に像が映り続けることになる。

鏡の中を覗き込むと無限に回廊が続くように見えるが、手前から9枚目の鏡の中には悪魔が潜んでいて、深夜0時に、うっかりそいつと目が合うと、鏡の中の悪魔に成り代わられてしまう、という――



「……っていう都市伝説、昔流行ったよな。まったく、うちみたいなブラック企業で馬車馬みたいに働かされるくらいなら、いっそ鏡の中で暮らしてる方が気楽だぜ」

「……馬鹿馬鹿しい。おい行こうぜ、休憩時間終わってから戻ったら、また給料削られる」

俺は興味のなさそうな素振りをして煙草の火を乱暴にもみ消した。




――――
――


その夜、深夜0時。

俺はいつものごとく合わせ鏡の儀式を行い、9枚目の像に呼びかけていた。


「……なぁ、聞こえてるんだろ?返事してくれよ」

反応はない。

「もう嫌なんだ……早く交代してくれよこんな人生」

返事はない。

「なぁおい、聞けったら」

ぴくり。

「……」





「――ざっけんなコラてめぇ!聞こえてんだろ完全に!!今ぴくっとしたじゃねぇか!!!さっさと代わりやがれこの野郎!!!なに目ェそらしてんだ冗談じゃねえぞ!!!もともとてめぇの人生だろが押し付けてんじゃねぇぞゴルァ!!!戻せ、戻しやがれぇぇぇぇぇぇ!!!」


……数年前、合わせ鏡の儀式をしていたこいつと入れ替わったのが運の尽き。
ヒキオタニートのブサイク童貞にまともな就職口などあるはずもなく、俺はブラック企業でこき使われている。

あと何十年、このままでいないといけないのか――



ああ、鏡の世界が懐かしい。




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