過去ログ - タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part2
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名無しNIPPER
[sage saga]
2015/05/01(金) 21:19:09.41 ID:3aWOaEcFo
>>751
「霙のち雹のち霰」
私は困惑していた。
「なんて読めばいいんだ・・・?」
霙のち雹のち霰、と書かれた紙を眺めながらボヤく。
それは投書箱に入っていたアンケート用紙だった。
アンケート用紙には次にどんな本を購入して欲しいかを記入する。
公立図書館で働く私は、帰宅前に投書内容をチェックする仕事があるのだ。
「どうしたんスか?」
後ろから声をかけられる。
振り向いたそこには、後輩の荒井くんが居た。
「ああ荒井くんか。いやこんなアンケートがあってね」
そう言いつつ私はクダンの紙を見せる。そして、
「恥ずかしながらタイトルが読めなくてね。君ならわかるかね?」
私は多少投げやりな気分で訊いた。
出来ることならさっさと調べ終わりたかった。
ルビでも振ってくれればいいのに、と誰にとも無く毒づく。
そんな中、荒井くんは「う〜ん・・・」と唸ったあと、
「ヒョーは分かるんスけどね。あとのは・・・エイとかサンじゃないッスか?」
あまり期待の持てない回答をくれた。
「いや、漢字の作りから言って冬の天気の事だと思うんだ」
私は苦笑いを作りながら続ける。
「エイとかサンとかじゃ、冬の天気じゃないだろう」
「え〜? エイのちヒョーのちサン、って言葉自体は有りそうじゃないッスか?」
「ないよ。ないない」
などと下らないやり取りをしている内に、私は無性に珈琲が飲みたくなった。
妻は私に気を使って豆から珈琲を挽いてくれる。
インスタントや缶コーヒーが苦手な私にとっては有難いことだ。
しかし美味い珈琲を淹れてくれる店もずいぶんと減ったなぁ・・・と無駄な感傷にも浸った。
「まあ、気象に関する本のことだろう」
多分そうだと検討をつけて私は荒井くんに尋ねる。
「その手の本の依頼は他にあったかな?」
「ありますよ。確か天気予報士のなり方、って本ッスね」
「じゃあそれを購入リストに入れておこう」
宣告と同時に立ち上がる。
私の頭の中はこれから飲むだろう珈琲の味でいっぱいになっていた。
冬の天気だのヒョーのちサンだのはどうでもいいのだ。
いざゆかん、と気合も新たに、私は一路自宅を目指したのだった。
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