過去ログ - タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part2
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名無しNIPPER
2015/05/18(月) 23:21:55.24 ID:1PSjP5Ito
>>740
「おも胃」
三月に中学を卒業した。
春休みで暇をもてあそんでいた俺に一通のメールが届いた。
差出人は不明。
なんとは無しにタイトルを読んだ。
『おも胃ディストラクションをありがトゥ!』
なんなんだよ。
いや……なんだ? なんだって言うんだ。
記憶にねーよ。おも胃ディストラクションってなに?
お礼されるのが逆に怖いよ。
そしてなんでテンション高めなんだよ。
意味がわからねーよ。
チクショウ、これが社会の洗礼ってやつか?
こういうのに耐える勇気を持てってことなのか……。
見えない恐怖に震えている俺。
そんな時、急に電話がかかってきた。
『あ、せんぱーい。おヒサですネ』
聞きなれはするがイラつくその声は、部活の後輩の南だった。
なんなんだよ、と聞き返す俺。南は、
『メール届きましたぁ?』
淡々とした口調で言ってくる。
メール? と疑問符をつけて俺は返事をした。
『そうそう。部活のみんなで、寂しい寂しい春休みを送る先輩に、
せめてもの情け的な応援メールを送ろうって話になりまして。
思い出をありがとうって』
大きなお世話だこの野郎、ぶち転がすぞ。
そんな文句を平然と聞き流しながら南は続ける。
『冴木ちゃんのスマホ借りたんですけどね、予測変換ってオモロイですね。
あんまりオモロイんで意味不明なまま送ったんですけど、どうでしたぁ?
クールな冴木ちゃんの意外な一面! って感じでオモロかったでしょ?』
冴木のスマホからだったのかよ。
俺あいつの情報登録してなかったわ。
何の気なしにそう答えると、とたんに南の態度は一変した。
『はぁ!? サイテー! なんで登録してないですか!?』
な、なんでって言われても。
逆になんでお前はそんなに怒ってるんだ?
『ウチのお膳立てがイロイロと台無しじゃないですかこの無能!
え゛!? あの冴木ちゃんにこんな一面が!! って感じで
ギャップ萌えが生まれる前提だったのに! ほんと使えネー先輩ですネ!』
誰が無能だテメーこんどあったら三発殴るからな。
一発じゃないぞ、三発だ。
きっちりとそう告げてから俺は電話を切った。
そしてムカつく後輩である南のことをさて置き、同じく後輩である冴木のことを思う。
ショートカットで、いつも憮然とした顔をしていた。
クールで、無感動で、そのクセ俺にだけはつっかかってくる女。
そして「思い出をありがとう」を「おも胃ディストラクションをありがトゥ!」と誤変換するスマホの持ち主だ。
あいつ普段なにを検索してんだ? リアルに怖いわ。
呟いた声に応えるものは無く、辺りにはただ春の陽気が満ちている。
まあいい、あの二人に悩まされる事はもう無いだろう……。
そんな風に考えていた俺が後悔を覚えるのは、もう少し先になってからの話である。
しかしその事を知らない今、俺はただ暢気に時を過ごすのだった。
続かない
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