過去ログ - タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part2
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986:名無しNIPPER[saga]
2015/06/20(土) 00:46:47.05 ID:+dJmW8MAO
>>983
「タカハシアシデマトイ」



『俺、久美子先輩の事が好きです!この前、夏祭りに一緒に行ってから、先輩の事が急に気になりだして……。久美子先輩は、俺のこと、どう思ってますか?』


俺は勇気を出してメールの送信ボタンを押した。

久美子先輩と出会ってから、かれこれ一年。

先輩は研究室の中でも変人として有名な人で、いつも白衣にボサボサの三つ編み、でかい眼鏡という出で立ちで、お洒落にも恋愛にも無関心。

カップ麺をズルズルすすりながら暗号だのセキュリティプログラムだのの専門書とにらめっこばかりしてるような人だった。

俺はこの先輩に妙に気に入られたらしく、研究室に入ってからというもの、やたら雑用を仰せつかることが多く、半ば専属の助手みたいな扱いになっていた。

それなりに仲は良かったのだが、女性として意識しだしたのはつい最近。

研究室の他のメンバーや友人たちが皆帰省してしまい、残り者同士ひまだからと祭り見物に誘ったのだが。

浴衣姿で髪を下ろし、眼鏡を外した先輩はびっくりするくらいの美人で。

眼鏡を外していたために人混みに押されてよろめいたところを抱き止めた時、その身体の意外な柔らかさにドキドキして。

一緒に見た花火より、俺は先輩の横顔に見とれてしまった。


そして今日。

意を決して送った告白メール。

先輩は俺のことをどう思ってるのだろう。

携帯が震え、メールの着信音が鳴る。

緊張しながらメールを開く。


件名:
『高橋へ』

本文:
『タカハシアシデマトイ』



……終わった……

がっくりとうなだれる俺。

正直、少しは脈がありそうな気がしてたのに……

明日から先輩とどんな顔して会えば……


その時、再び携帯が振動した。

またしても先輩からのメールだ。


件名:
『すまん途中送信してしまった』

本文:
『タカハシアシデマトイカラムキスマズッ
2・6・4・3・1・7・13・11・16・10・8・9・5・18・17・12・14・15』

……なんだこれは。

二度も送ってきたあげくに『絡むキスまずっ』?

何の暗号だよ!

……ん?

……暗号……?


――そして5分後。

俺は晴れ晴れとした表情で、このまことにめんどくさい、しかし可愛らしい先輩に電話をかけるため、携帯のボタンを押した。


fin.


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