37:名無しNIPPER
2015/01/05(月) 20:51:38.03 ID:0wpfjsKk0
花陽「はい。帰れるなら、帰りたい、です……!リン、君が、その……できるなら、ですけど」
そう言えば、嬉しそうにリン君は頷きました。
リン「勿論だよ!んじゃあ説明するにゃ!カヨチン、手のひらを鏡につけてー」
花陽「う、うん。……こう?」
お茶を持ったのと反対の手を持ち上げ、指紋をつけてしまうことに躊躇いつつも押し付けて。ひんやりとする感覚を手のひら全体で感じながら、花陽は再び訊ねます。
リン「んで、来るときに思ったのと反対のことを思う、それだけにゃ」
マキ「は?それだけ?てかさっきから、何でお前はそんなに知ってんだよ。おい」
リン「まあまあ、……やってみてよ」
花陽「……うん」
狼狽えつつも、目をつぶってじっと念じます。反対、というのはきっとそのままでいいのでしょう。………花陽は女の子のままがいい、花陽は反対なんか要らない、花陽は、花陽は―――
花陽「今のままが、いい……ッ!!!」
そう、強く強く願った刹那。――ぐにゅり、歪む鏡。腕がぐんぐんと飲まれ始めます。わ、わ、わわわっ!
マキ「うそっ、マジかよこんなん……!」
リン「ほらマキ君!いっちゃう前に一言!」
マキ「あっえっ、あーっと、が、頑張れ、……よ?」
花陽「う、うんっ……」
リン「ヘタれかマキ君め!!えっと、元気でね、カヨチン!」
首を限界まで捻って、視界のはしにとらえた二人に頷いて、花陽も叫びます。
花陽「ふ、二人も元気でね!―――その、ありがとっ!」
リン君が手を大きく振り、マキ君は顔をそむけて髪を弄って。
そうして、顔が飲み込まれる寸前。あっ、という声の後、
リン「真姫ちゃんに、宜しくっ!」
紙パックをもう一つぎゅっと押し付けられ、握った直後――真っ暗闇に真っ逆さまに―――花陽はずぶずぶと沈んで、沈んで、沈ん―――
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