過去ログ - 【オリ設定】安価とコンマで異能バトル【part 14】
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2: ◆3ZxXgUosIQ[saga]
2015/01/06(火) 20:26:20.11 ID:hAxiekgiO


 ――僕は弱虫だ。

 いつも誰かにいじめられる。
 いつも誰かの顔色をうかがっている。

 すぐに泣いて、すぐにビビって、すぐに逃げ出す臆病者――だった。

「辛いことも、苦しいことも、生きてればたくさんあるよ。
 立ち向かうのは怖いし、立ち向かっても敵わないことだっていっぱいある」

「でもね、時々、いいことは訪れるんだ。そういうの、キミは信じられる?」

 差し伸べられた、差し伸べてくれた手に憧れて。
 その人はそれからすぐに、殺されて――。

「獅子、堂っ…将虎…。
 許さない…絶対…絶対に…っ…!
 ――――殺してやるっ…!」

 強くならないと。
 あいつを殺すために、人を殺して強くなって、復讐をするんだ――

 そう、思っていた。
 でも、そんな強さはただの弱虫な僕が作り出した、安易な逃げ道の1つでしかなくて。

「信じられねえなら、信じるな。けどな、信じてた方がいいもんってのは、あるんだよ」

「…信じていた方が…いいもの…?」

「お前、知らねえのか? そういうの」

 涙をこぼすしかできない僕を、気にかけてくれる人がいて。

「強いって、何だと思いますか…?」

「チカラだ」

「曲がらないチカラが、強さだ」

 何も知らない、こんな僕にでも、まっすぐ向き合ってくれる人がいて。

「…人は殺すべきではない。それでも…いてはいけない人間もいる」

「許しておけないこともある。だから、できるならば許せるだけの心の強さを持ちたい」

 大切なことを、教えてくれる人がそばにいてくれて。

 だから僕は、もう怯えたくない。
 怖くなっても、僕のそばにはいつだって――僕を支えてくれる誰かがいてくれるから。

 右も左も分からない未来でも。
 1秒先のことさえままらないような、闇の中にでも。

 1人じゃないから、胸を張って歩いていけるんだと。
 1人じゃないから、その未来を良いものにしたいんだって思えるんだと。

 例えどこかで壊れかけても。
 また、ツギハギだらけになりながらでも元に戻ってやり直せるんだって、そう思った。

 ものを消すことはできない。何かを元の状態に戻すことしかできない異能。
 僕自身にこれを使うことができないのは、奇跡に頼らなくても戻れるんだって、そういうメッセージなんだと思った。

 何度だって。
 弱虫で、泣虫の、どうしようもない僕でも、きっとやり直すことはできるんだって、そう思えた。




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