過去ログ - キョン「ペルソナァッ!」 クマ「ザ・ゴールデンクマ!」
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7:名無しNIPPER[saga]
2015/01/07(水) 18:06:03.24 ID:CL7Y8+DEo

「ここは……」

浅く、きめの細かい眠りと、ぼやけた現実の間を漂っているような、奇妙な感覚がして、俺は目覚めた。視界の中に、いつもの天井はない。星もない、灰色の夜空が、でかいドーム球場の天井のように、俺の視界を覆っていた。
体を起こすと、周囲の空気が冷え切っていることに気づき、小さく身震いする。
寝巻き替わりのTシャツを着込んでいたはずの体は、見慣れた、着慣れた、北校の制服をまとっていた。

……閉鎖空間、か?
脳裏に、かつて、ハルヒとともに訪れたことのある、あの灰色の空の下が思い浮かぶ。
しかし。それと同時に。俺はもうひとつの選択肢……以前、経験したことのある、現状によく似た異常事態を思い出していた。

影時間。

ほんの二ヶ月ほど前のこと……にしては、随分と遠い昔のことのように思える。
俺が体験した、夜毎に訪れる、冷たい空気に満ちた、薄暗い時間。俺はその時間の中で、いくつかの……いくつもの非現実的現象を目にし、その現象の中に身を置き、体感したのだ。
意識よりも、感覚が強く記憶している。
体の奥底から、青白い光が湧いてきて、全身が包み込まれるように、力に溢れる感覚。ペルソナカードの手触り。そして、自分の中から、もうひとりの自分が現れる瞬間の……言葉では説明しにくい、あの感覚。

まさか、また?
頭の中で、思考というパズルのピースを合わせてゆく。しかし、それを遮るように―――

「危ないクマー!」

遮るように……聞こえたのは、男か、女か、判断に困るような、甲高い叫び声。そして、その声がした直後、俺は、全身が粟立つかのような感覚に襲われ、即座に体を起こし、飛び退いた。
ドシャァ。といったような、重みのある音とともに、俺の体があった場所に、何かが飛び込んでくる。古いゴミ袋のように黒く、寒気がするほどに大きい。全長は、子供の背丈くらいはあるだろうか?
そして、人間が通常生活するにあたっては、まず目にすることのないであろう、禍々しい形相。
髑髏。
俺の貧弱なボキャブラリーから、そんな在り来たりの単語が呼び起こされる。
そいつは、夜の闇よりも黒い布切れのようなものを巻きつけられた、首から下のない髑髏だった。
そんな髑髏が、冷たい大地の上で、わずかにバウンドをしながら、俺の眼前、ほんの数十メートルの位置に、転がり込んできたのだ。


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