248: ◆/5u1xsuUH.
2015/08/31(月) 23:25:36.10 ID:gNDGU+Cco
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グラスの中の氷が鳴る。
いったい私は何時間こうしていたのだろうか。
普段はあまり飲まない酒なんかを飲んだせいで昔の思い出に浸ってしまっていた。
本来失くしているはずのこの記憶。
あの性悪狐は
『僕はまだまだ未熟者でして、そういう術はできないんです。
だからどうかこのことは他言無用に。あなたの心の中だけに隠しておいてください』
と、二カっと邪気のない笑みを私に見せ、すぐに去って行った。
彼が事故で怪我をしていた時、私はすぐに気付いたというのに、
あっちは全く気付いていない様子だったので、もう少しばかり『いじわる』は続けてやるつもりだ。
「私はあの時そのまま何もしていないでくれたことに感謝しているのよ。総次郎くん」
一人呟いたその言葉はそのまま虚空に吸い込まれていくのだった。
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