過去ログ - 男「一から始める」義妹「兄妹関係」
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108:名無しNIPPER[saga]
2015/02/08(日) 22:19:08.14 ID:aY4Cv27P0
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新しい一年の始まりに男が心動かされていた頃、同じように義妹もまた自身が新しく通うことになる学校でクラスメイトたちとの顔合わせを終えていた。
それまで近隣地域から集まっていた中学校とは違い、遠くの地域から通う学生も多く、最初は皆交流の一歩目を踏み出すのを躊躇い、ぎこちない会話と自己紹介を交わしながら徐々に相手との距離を図っていた。
少しずつ会話の輪が広がっていく中、どうにもその最初の一歩を踏み出せずに中々輪に入れずにいた義妹はオロオロとした様子であちこちに出来始めたいくつものグループに視線を向けていた。
義妹(ど、どうしよう……。もうみんなだいぶ話が盛り上がっているみたいだし、このタイミングでいきなり会話の中に入っていくのはちょっと、難しいかもしれないよ)
ポツンと、一人寂しく教室の隅で他の生徒たちの様子を見ているとそんな義妹と同じようにどのグループに属するわけでもなく一人でいた少女が近づいてきた。
?「……ねえ、あんたなんで一人でいるの?」
そう言って義妹に声をかけてきたのは、セミロングの茶髪をした少女だった。頭髪の制限が緩いこの学校では女生徒の多くが髪を染めていた。
義妹のクラスにいるこの多くも髪を染めているが、彼女たちはあくまでもファッションの一環として染めているような雰囲気がある中、声をかけてきた少女は他の女生徒とは少し様子が違っていた。
彼女の周りの空気はどこか冷たい感じがし、染めてある髪もオシャレでやっているような感じではなかった。
どちらかといえば、一昔前の不良のような危険を感じるような空気が少女からはした。
義妹「えっ、えっと……。ホントは、誰かに話しかけて私も皆みたいに輪になって話したかったんだけれど、どうもタイミングを逃しちゃったみたいで」
?「ふ〜ん、そうなんだ」
義妹「うん、そうなの」
義妹の返答にそれほど興味を抱いたわけでもなく、話半分と言った態度で少女は話を聞いていた。
?「じゃあさ、あんたがよかったらだけど私と話でもしない?」
義妹「……いいの?」
?「良いも悪いも、どうも今のところグループに属してないのってあたしたち二人だけみたいだし。
入学早々一人でいるなんて変に目立つし。後々面倒なことになっても嫌だし、とりあえずってことで」
そう言って少女は義妹の隣に立った。言われて見れば確かに義妹とその少女以外の女生徒はどこかしらのグループで会話を始めており、その中でも会話の中心となるようなリーダー格が生まれ始めていた。
俗に言われる女子の派閥というのは最初はこうして生まれていくのだろう。
義妹「ありがとう! 本当はちょっと心細かったんだ。もしかしたら入学初日に誰とも話せず一日が終わっちゃうのかなって心配で。
だから声かけてもらえて助かっちゃった」
内心抱いていた不安を取り除いてもらい、一安心した義妹はそう言って少女に感謝を伝えた。
だが、よほどその言葉が意外だったのか少女は驚いた表情を見せ、苦笑した。
?「あんた……面白いね。うん、あたしあんたみたいな子結構好きかも」
義妹「そ、そうかな? えっと、これって褒められてるんだよね?」
?「褒めてる、褒めてる」
義妹「ウソ! 今ちょっと笑ったでしょ。もう……」
気がつくと二人は自然と会話を続けていた。
義妹「そうだ、自己紹介がまだだったよね。私、義妹です。これから一年、よろしくね」
?「義妹ね。うん、覚えた。あたしの名前は少女。こっちこそ、これからよろしく」
自己紹介を終えた二人はそれから互いの趣味や最近やっているテレビ番組など他愛ない会話を繰り広げていた。
その後、互いの連絡先を交換したところで彼女たちの担任になる女性の教師が現れ入学式を兼ねた始業式が行われ、彼女たちの高校生活の一日目は終わったのであった。
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