過去ログ - ペンション・ソルリマールの日報
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210: ◆EhtsT9zeko[saga]
2015/07/25(土) 22:33:01.88 ID:jFIP2x74o

「うん、大丈夫だよ。ここの食事に飽きちゃっただけ」

あたしはそんな適当なことを言って笑顔を見せてあげる。するとサブリナちゃんはクスッと笑って

「でも、今日のはマヨネーズ、ちゃんと入ってる」

と、あたしにサンドイッチを差し出してきた。それを控え目に一口かじって

「あ、ホントだ」

なんて言ってあげたら、サブリナちゃんはようやく安心してくれたようで、食事の続きに戻る。

 そんな彼女を見ていて、あたしはふと、アヤさんの事を思い出していた。こんなとき、アヤさんならどうしただろう?

きっと自分で引き取るとか、そんなことを言い出すんじゃないかな。

彼女みたいな子は、きっと安心できる環境で、安心して暮らして行けることが何よりも大切なんだと思う。

それこそ…あのアルバって島で、優しいアヤさんとレナさんに見守られながら過ごすのがきっと良いだろう。

でも、正直に言えば、彼女はちょっと厄介だ。もし彼女の出自が漏れてしまえば、関係者はたちまち“事故”に遭っても不思議じゃない。

そんな事をあの島に持って行くようなことは、やっぱり避けるべきだろう…アヤさんはそうは言わないだろうけど…

でも、今はまだ…少なくとも、フォーラ大佐が何か手を打って、今回のことを収集してからの方が良いはずだ。

もしアルバ島のアヤさんに頼むんならそれを期待する他にない…

ううん、もしかしたら、アヤさんの居た施設ってところがアヤさん達のように彼女を救ってくれるかも知れない。

それこそ、アヤさんを支えてくれたときのように…ね。

 「少尉」

不意にそんな声が聞こえてあたしは我に帰った。顔をあげるとそこには、ジュースのチューブを手にしたイルマが居た。

「あぁ、イルマ。シュミレーションは終わったの?」

あたしはイルマにそう聞いてみる。彼女は少し前、隊長に言われてモビルスーツの操縦シュミレーションをさせられていたはずだ。

 でも、あたしの言葉にイルマは曖昧に笑って

「そのことなんですけど…」

と、あたしをジッと見据えて言った。

 イルマからは、何か、清々しい心地が伝わってくる。吹っ切れた、って言うか、なんだか、そんな感じを受ける感覚だ。

「上手く行ったの?」

あたしはその感覚から、何かコツでも掴んだんじゃないかと思ってそう聞いてみる。するとイルマは穏やかな笑みを浮かべて首を横に振った。

「私、シュミレーション受けてないんです」

「え?」

思わぬ言葉に、あたしはそう声をあげていた。シュミレーション受けてないって…じゃぁ、機動訓練でもしていたのかな?

でも、モビルスーツの発進なんてことがあれば体制が変わるから、あたしが気が付かないはずがない。何か違う訓練でもしていたのかな…?

 そう思っていたあたしに、イルマは清々しい表情で教えてくれた。

「私、今までずっとハウス大尉と話をしてました。私、決めたんです。ルナツーに戻ったら、この船を降りて、軍も辞めます」
 


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