過去ログ - 千早「どうぞ歌ってくださいと、話しかけてきた」
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6: ◆WOrY9N/cxs[sage saga]
2015/01/12(月) 02:24:32.78 ID:r0J+Luue0


 その後、美希と千早。チャップマン氏を交えて夕食に出かけた。

 主題は当然、千早と美希の活躍だったが、俺の興味はポールにあった。

「彼の困ったところは、ステージに立つことを頑なに拒むことなんだよ」

 氏はスープからすくった豆を見つめてため息を吐く。

「たしかにステージ嫌いのアーティストは多くいる。しかし彼のそれは度が過ぎている。どんなに小さな場所でも依頼を受けようとはしないんだ。彼が演奏するのはあのスタジオの中だけだ」

 美希はしきりに千早に話しかけている。

「どんな場所でも、ですか……?」

「あぁ、ギャラリーが一人でもいれば、弾かない。私たちは仲間として聴くことができる反面、彼のピアノが発表できないことをいつも苦々しく思っている」

「極端な話ですね。どんな人間嫌いでも、作品を発表したい気持ちはあるはずです。音楽家なら、生の演奏を聴いてほしいはずです」

「彼は人間嫌いではない」

「えぇ、それはわかります」

「だからこそ、不思議なんですね」

 不意に千早が口を挟んだ。
 いつの間にか、美希もこちらの話を真剣に聞いている。

「ポールからは強い意志を私は感じます。演奏を聴けばプロデューサーにもわかるはずです」

「だけど、俺が聴かせてもらえるかな」

「それは、ポール次第だからね」

「ハニーならきっと大丈夫なの。ミキも聴きたいって思うな」

 期待は膨らんでいく。




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