21:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:12:46.20 ID:sdjP5j9j0
帰り道は行きよりも怖さが薄れた気がする。
きっと一度通った道だからだ。
「ねぇ澪ちゃん」
「なに」
「ごめん。わたしさっき、嘘ついてたの」
澪ちゃんは黙ったまま、わたしの方を見つめている。
わたしは澪ちゃんを見ないまま喋り続けた。
「本当はね。澪ちゃんとりっちゃんにはロミオとジュリエット、似合わないと思ってたの」
「どうして」
「…ほら。ロミオとジュリエットって、不幸な話でしょ。
澪ちゃんとりっちゃんにはそんな話似合わないよ。
わたし、ふたりが主演になるって決まったとき、台本大幅に変更しなきゃって言ったじゃない。
あれは本当なの。ハッピーエンドにしたかったの」
「それじゃあロミオとジュリエットにならないじゃないか」
「…そうだね。だからふたりにはこの話が似合わないよ。だから…」
「だから…?」
わたしは大きく息を吸い込んだ。
心臓の鼓動が階段を上るテンポを追い越してリズムを刻んでいる。
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