58:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:38:11.37 ID:sdjP5j9j0
「うん。この近くでちょっと用があったから。そのついで」
「そっか。いつも悪いな」
「ううん。本読むの好きだから。澪ちゃん、バイト、何時まで?」
「うん。20時までだからもうあがり。せっかくだから一緒に帰ろう」
「うん。じゃあ、待ってるね」
店の外で澪ちゃんを待とうと扉を開けると、
道路の湿り気が増している。
「あれ。いま雨降ってる?さっきやんだと思ったのに…」
遅れてやってきた澪ちゃんが夜の闇を見て呟いた。
「もしかして澪ちゃん、傘持ってないの?」
「うん…ほら。天気予報では曇りって言ってた気がしたから…」
「あっ、あの、わたしね…」
「ゴメン。ムギ。もうちょっと待っててもらっていい?
わたし、お客さんが忘れてった傘、借りていくことにするよ。
お店に結構、残ってるんだ」
そう言って澪ちゃんは傘を取りにもう一度店の奥に戻って行った。
わたしは黙ったまま、半分くらい開きかけたショルダーバッグのチャックを閉じなおした。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
澪ちゃんが持ってきたのは、可愛らしい水玉模様の傘だった。
よかった。黒くて地味な折りたたみ傘なんか出さなくて。
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