61:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:41:13.45 ID:sdjP5j9j0
わたしは傘をたたむと澪ちゃんのそばに寄って、右腕を掴んだ。
「ム、ムギっ…//」
「相合傘したらどう?
ふたつとも傘が壊れてたら恥ずかしいけど、
ひとつだけなら恥ずかしさも半分よ〜♪」
「あ、……うん//」
ぴたりとくっついた右腕から体温が伝わってくる。
でも、もともと霧雨だった雨は、降っているのかどうなのかもわからないくらい。
もう傘は要らないのかもしれない。差さなくたって大して濡れないのかもしれない。
「傘、わたしが持つよ。入れてもらってるし」
「あ、ありがと」
そんな雨の様子なんかちっとも気がつかないフリをして、
左手で受け取った傘を、少し左に傾ける。
「そんなに傾けたら、ムギが濡れちゃうだろ」
「大丈夫よ。だって最近、2kg痩せたのよ〜」
「なにーっ!ム、ムギは仲間だと思ったのに……
ってそうじゃなくて!」
「だいじょうぶだいじょうぶ♪
わたし、濡れてないから」
澪ちゃんは雨の様子に気がついていないんだろうか。
少しでも雨に濡れたくないから傘を差してるんだろうか。
何かを期待してしまいそうになる自分と、
期待してそれが失望に変わるのを怖がる自分が、
入れ替わり立ち替わり現れては消えて、
「雨、やんだみたいだな」の一言を聞くのが怖くて、
わたしはとにかく何か喋り続けた気がする。
何を喋ったかはあんまり覚えていない。
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