過去ログ - 紬「真夜中のいちご」
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74:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:51:39.56 ID:sdjP5j9j0


あなたが言ったひとことを最後に、音がやんだ。

まるでこの壊れかけた傘が、

雨の音も、
お互いの息遣いも、
車のクラクションも、
横断歩道の交通信号機から漏れるとおりゃんせも、
遠くから聞こえていた踏切の警報音も、

なにもかも、
外の世界の音を遮ってしまったかのように。

わたしたちふたり、無言。

ただただ頭の中にはひとつの言葉だけが響いていた。

わたしは目を閉じた。
目を閉じて、音の失われた世界で最後に聞いた言葉を繰り返し、
繰り返し、胸に刻んでいた。

ー第3話 おわりー



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