11: ◆tr.t4dJfuU[saga]
2015/01/15(木) 16:27:45.76 ID:59smtw3F0
どこまでも広がる水平線が、夕日に染まる頃。
砂浜に立ち、それをじっと見つめる軍服の男がいた。
足元近くに海水が近づこうとも、微動だにしない。
幾時かが過ぎ、彼はふと自分の胸のポケットにその手を入れた。
四つ折りにされた一枚の写真を取り出し一目見て、また折りたたみ仕舞った。
そしてその手をそのまま自分の右胸に当てる。
その胸には多くの略綬が付いており、一目で彼の有能さを見抜くことができた。
その肩にかかるのは、金色下地に銀三ツ星。
日本海軍大佐。
これが彼の階級である。
大佐と言えば、壮年の人間を想像するかもしれない。
しかし彼はいまだ20半ばといった年齢だろう。
そんな若者が何故ここまで這い上がれたのか、その理由は彼の戦績にあった。
特務中尉として駆逐艦に乗り込んだ際、その駆逐艦が敵中にて単艦で孤立するという不運に見舞われた。
その際に、彼は見事な操艦技術と天候観測をもってしてその危機を救った。
それがその際乗艦していた海軍中将の目に留まり、二階級特進の後、駆逐艦の艦長に任ぜられた。
それから彼は幾多もの勝利を重ね、あれよあれよという間に昇進していった。
これが、彼が若くして大佐の肩書を経た経緯である。
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