過去ログ - 澪「ずっと、あなたが好きだった。」
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25:名無しNIPPER[saga]
2015/01/15(木) 22:43:59.58 ID:Y0jxl3IJ0


その時付き合っていた相手は、本を読むことが好きな、のんびりとして穏やかな男だった。
毎日真面目に働き、帰宅して料理を作り、洗濯を欠かさず、休みの日には部屋をきれいに掃除して整理整頓を怠らず、少しの余暇に読書を楽しむ男だった。

ときに、私をアクセサリーのように…ただ美しい女を横に携えて町を歩きたい…そんなくだらない願望を隠すこともない破廉恥な男もいたけれど、彼はそんな男ではなかった。

彼が、顔を真っ赤にして私に愛を告げてくれたことは、私にとっても嬉しい出来事だった。
いろんな男たちが(ときには女たちも)私に言い寄ってきたけれど、彼ほど真剣なまなざしを向けてくれた人はいなかったように思う。

私は素直に嬉しかったのだ。でも。

私は恋をしていなかった。
彼に恋することはできないでいた。
残酷だけれどもそれは真実だった。

彼がそれに気がついていたかどうか、私にはわからない。



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