過去ログ - 澪「ずっと、あなたが好きだった。」
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28:名無しNIPPER[saga]
2015/01/15(木) 22:45:37.97 ID:Y0jxl3IJ0

「そんなことない。久しぶり会った佐々木さんに何がわかるんだよ」

「興奮しないで、秋山さん」


手をぎゅっと握られる。心臓を鷲掴みにされたみたいだった。


「私にはあなたの考えていることがわかるの、あなたの本当の気持ち」

「何がわかるっていうんだよ!なんでそんなことが言えるんだ!」

「わかるわ。だって私…ずっと澪のこと見てたもの」


曜子はごく自然に…まるで昔からそうしていたかのように、私を下の名前で呼んだ。


「気づいてなかった?
 そうよね、あの頃の澪は私のことなんて少しも見てくれなかった。
 ずっとあの人のことばかり見てたもの。

 でも今は違うわ。
 今、私は澪を見てる。
 そして澪は私を見てる。
 そうね、私なら教えてあげられるわ。
 澪も、澪の彼も知らない本当のあなたの気持ち。


 私が教えてあげる」


曜子はそう言って、蠱惑的に微笑んだ。

獣を相手に隙を見せてはいけない。
わかっていたはずのに油断した私が悪かった。

今までまとわりついてきた獣(男共)と勝手が違うのは、
相手が同性で旧友だったことだ。

うさぎだと思っていて気を許してしまっていた。
けれど曜子は狼だった。
十年のときを経て、彼女は立派な獣になっていた。

狼は、期を見て牙をむき、私に噛み付いた。
私は振りほどくことができずそれに飲み込まれていった。




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