過去ログ - 輿水幸子「シンデレラ前夜」
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1:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:46:53.67 ID:6qIkC3h0O
体の傷はいつか治るけれど、心についた傷は、自分が克服しなければ治りません。

非力なボクは、この現状を覆す術を持っていませんでした。

最初は小さな言葉の棘。ほんの少しの意地悪から。

そんな小さな言葉を気にしなければよかったのに、弱いボクは過剰に反応してしまいました。

そんな反応が連鎖して、また小さな意地悪が生まれます。

そして小さな意地悪は、他の意地悪を連れて、それが連なって、大きな意地悪になります。



「輿水のぶーす!」


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2:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:47:57.67 ID:VuGb7MUjO
ほんの些細な言葉。それでも、小さいボクは酷く傷つけられてしまいます。
それが一人ならまだしも、一人言い出せば二人になり、二人言えば四人に増え、
いつの間にかクラスの男子全員、ボクに言葉の暴力をぶつけてきます。

女子が味方になってくれるならまだしも、
以下略



3:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:48:31.50 ID:VuGb7MUjO
それでもボクは負けませんでした。
言われても、言い返されても否定し続け、反論し続けていきました。

それでも状況は変わることなく、一日が過ぎ、一週間が過ぎ、一か月が過ぎ…。

以下略



4:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:49:17.96 ID:VuGb7MUjO
ここ最近は、登下校も一人です。誰も側に居たくないみたいです。
女子の噂話ももっと小さい声でしてくれればいいものを、
わざわざご丁寧にボクに聞こえるように話すから性質が悪い。

誰もボクと遊びたがらないから一人ぼっちで放課後を過ごします。
以下略



5:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:49:57.99 ID:VuGb7MUjO
テレビをつけると、キラキラした衣装を身に纏って、
楽しそうに笑っているアイドルが眼に入ってきて、
今のボクには眩しすぎて、すぐにチャンネルを変えてしまいました。

ボクはあとどれだけ踏ん張ればいいんでしょうか。
以下略



6:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:50:54.68 ID:VuGb7MUjO
人気者の男子が何やらそわそわしながらこちらに近づいてきました。

何か言いたげな様子。ボクは咄嗟に心を閉じて、ノートに書かれている文字を見つめます。

結局彼は何も言わないまま、ボクの横を通り過ぎて行きました。
以下略



7:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:51:27.20 ID:VuGb7MUjO
今日も、公園のぶらんこは一人寂しく揺れています。

きーこーきーこー。

辛いなって、寂しいなって、ぶらんこの音が言っているみたいで、
以下略



8:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:52:12.67 ID:VuGb7MUjO
きーこーきーこー。

隣のぶらんこが揺れる音。

袖で涙を拭いて、盗み見るように隣のぶらんこを確認。
以下略



9:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:52:48.79 ID:VuGb7MUjO
「必要になったら言ってください。お貸しします」

借りれるわけがない。

「…」
以下略



10:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:53:28.03 ID:VuGb7MUjO
「…」

「…あの」

「はい、何でしょう」
以下略



11:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:54:13.94 ID:VuGb7MUjO
「何で、ボクがいじめられなきゃいけないんでしょうか…」

「…」

「ボクは何もしていないのに、ただ、悪口に反論しただけなのに、何で…」
以下略



12:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:54:54.64 ID:VuGb7MUjO
「あ、いえ、ブスかどうかという事ではなくて」

「…?」

「きっと、貴女が魅力的だから、接点がほしくてそんな言葉を言ったんじゃないかと」
以下略



13:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:55:31.27 ID:VuGb7MUjO
「もし明日、貴女がブスだと言われたら、相手の目をじっと見て」

「…じっと見て」

「ニコッと笑ってみてください」
以下略



14:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:56:17.10 ID:VuGb7MUjO
「信じぬいたその先に、きっと素敵な魔法が待っています。
貴女が信じた自分自身の笑顔は、誰かに魔法をかけます」

「…魔法?」

以下略



15:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:56:46.04 ID:VuGb7MUjO
すっと、彼はぶらんこから立ち上がります。とても大きくて、壁のような人です。

「あ、あの!」

「はい?」
以下略



16:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:57:19.24 ID:VuGb7MUjO
変わるのだろうか、変えられるのだろうか。

たった一つの笑顔だけで、世界が変わることなんてあるのだろうか。

でも、あの人は言ってくれた。ボクはカワイイと。ボクの笑顔は人を魔法にかけると。
以下略



17:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:58:10.17 ID:VuGb7MUjO
今日も教室は変わりなく、ボクの存在を受け付けてくれていないようです。

ですが、そんな些細なことはもうどうでもいいような気がします。

変えられる、きっと変わる。ボクが知らなかった笑顔の魔法で。
以下略



18:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:58:38.05 ID:VuGb7MUjO





以下略



19:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:59:08.89 ID:VuGb7MUjO
真っ赤な顔をして逃げ出してしまいました。もっとじっくり赤面した顔を見せてくれてもいいのに。

でも、こんなにカワイイボクに見つめられたら、赤面してしまうのもしょうがありませんね。

なんせ、カワイイですから!ふふーん。
以下略



20:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/18(日) 23:59:44.49 ID:VuGb7MUjO
それからというもの、休み時間はひっきりなしに声を掛けられ、笑顔の大安売りです。

遠くからボクを見ていたり、前にもまして積極的に声を掛けてきたり、分かりやすいですね。

女子からは相変わらず、いえ、それ以上に冷たい目で見られているような気がします。
以下略



21:名無しNIPPER[saga sage]
2015/01/19(月) 00:00:34.20 ID:mmYkw0lGO
本当に、カワイイと言うのは罪ですね。
これじゃあまるでカワイイボクは、
アイドルになることを運命づけてられているようじゃないですか!


以下略



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