過去ログ - 【艦これSS】提督「壊れた艦娘と過ごす日々」04【安価】
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816: ◆oeBS4v7bwY[saga sage]
2015/01/25(日) 02:34:15.02 ID:/iKqaLico

 合間を縫って食堂に顔を出す。途端に周りの視線が彼女に集まった。

 陸よりも海に居ることの方が多い彼女を、ましてや食堂で見かけるとなるとよほど珍しいのだろう。皆こぞって同じ反応をする。

 別段艦娘に虐められているわけではないが、しかし腫れ物に触れる扱いをされているのには変わらない。

 遠巻きに彼女を見ながらぼそぼそと喋る艦娘達。それが陰口ではないと分かっていても、伊58にとってはもはやそれも苦痛だった。

 労わって欲しいのか、それとも励まして欲しいのか。或いは何かもっと別の言葉を掛けて欲しいのか。

 そのどれもがしっくり来ず、深い溜息を吐く。

 結局一日一回の食事さえ詰めこまないままに、トレーを返却口に戻した。

 十分後にはまた海だ。

 意味はないとはわかっていても、五分でも眠れるのであれば眠っておこうと彼女は思った。

 夜の遠征の最中、海で眠るわけにはいかないのだから。

 こみ上げてくる吐き気を堪えながら、廊下の端を歩く。

 いつしかそれが彼女の癖になっていた。

 部屋で眠ろうか一瞬だけ悩み、起きられなかった事を考えた彼女はそのまま港へと向かう。

 そしてそのまま外で膝を抱えて目を閉じた。

 眠れないと分かっていても、ただ目を閉じた。

 潮の香りがいっそ憎かった。




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