過去ログ - 【艦これSS】提督「壊れた艦娘と過ごす日々」04【安価】
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◆oeBS4v7bwY
[saga sage]
2015/01/25(日) 23:21:13.77 ID:/iKqaLico
訳がわからず、さりとて近づくわけにもいかず、ただその場で息を飲む彼女だったが、それが幸いしたのだろう。
激しい砲弾も彼女を襲うことはなく、また榛名も彼女に気づくことなく、雨の中に消えていった。
その事に安堵しつつ、しかし残った大和が気になった彼女は、恐る恐る横たわったままの姿に近づいた。
伊58「あ、あの……」
大丈夫ですか。
そう尋ねたつもりが、しかしうまく言葉にならなかった。
正直なところ、彼女には大和が生きているかどうかが分からなかった。
砲弾は確実に胸を貫いていている。拳銃の弾丸などではなく、確かに砲弾なのだ。
身体に風穴が空いていてもおかしくはない。もし今が雨ではなく晴れで、ここが陸の上だとしたら、きっと大和の身体を通して向こう側が見えていただろう。
そういう意味で言えば、彼女にとっては僅かながら幸運だったと言えなくもない。
彼女とて艦娘であり、戦う少女なのだから、血を見て卒倒こそはしないものの、だからと言って大量の血を流す艦娘を前に冷静でいられるはずもなかった。
少しばかり躊躇いながら、そっと大和の肩に触れる。
大和「……う」
伊58「!」
生きている。
思わず驚き、戦いた。
水が跳ねる。
唾を飲み込み、再度大和の肩に触れた。
大和「う……」
やはり、生きている。
わざわざ二度も確かめるまでもなかったが、しかし彼女も冷静ではないので仕方ない行動とも言える。
砲弾は幸いにも心臓を避けていたのだろう、しかしだからと言って油断は全く出来ない。
あくまで即死ではなかったというだけで、このまま海水に浸かっていれば間違いなく絶命するだろう。
彼女にとっては全く知らない相手だったが、それでも何とかしなければいけないと思った。
大和の腕をとり、一度だけ酷く傷付いた身体から目を瞑り、頭を降りながら引き寄せた。
伊58「い、一緒に戻って治すでち」
まさか自分の口から、治す等という言葉が出るとは彼女も思っていなかっただろう。
こんな状況だからこそ出た言葉であり、こんな状況でもそう言えたのは、やはり彼女が賢くはなかったからかもしれない。
自分の不遇や身体の重さも忘れ、大和が恐らく鎮守府にたどり着く前に力尽きるであろうことも全く考えないのは、そういう事だ。
彼女は賢くはない。
だけれど優しかった。
伊58「んー!」
大和の怪我を悪化させない様に、それでも出来うる限りの速度で泳ぐ。
ぐったりとしたまま大和は声すら出さない。その事にますます彼女は焦りながら、雨を掻き分けるように進む。
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