過去ログ - 【艦これSS】提督「壊れた艦娘と過ごす日々」04【安価】
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854: ◆oeBS4v7bwY[saga sage]
2015/01/25(日) 23:57:37.36 ID:/iKqaLico

 絡み付く藻屑か、あるいは手錠のように彼女の手から放れない大和の右腕。

 別段特別な何かがあるわけでもなく、彼女が冷静さを取り戻しさえすれば、一本一本その指を解けるのだが、しかしそんな余裕はとうに失っていた。

 海中でもがき、慌てながら浮上する。

 乱れた息を戻そうと思い切り息を吸い、吐いた。

 そして再度深呼吸をしようとして──

伊58「……あ」

「……」

 残った大和の体を貪る深海棲艦と、目が合った。

伊58「ひ……!」

 息を凍らせながら硬直する。

 身体は艦娘の格好をしていながら、頭部だけは黒い深海棲艦の姿をしており、それはまさに化物と形容せざるを得なかった。

 化物は緩慢な動作ながらも、視線は彼女を捉えて離さない。

 そしてグジュグジュと昆虫のように口を動かしながら、“艦娘”の手でまさぐるように海面を撫でた。

 それが一瞬何を意味するのかは分からなかったが、

伊58「……?」

伊58「……!」

 次の瞬間、破裂するような音と共にそれを把握した。

伊58「──!」

 46cm三連装砲。

 それは大和が持っていた装備であり、武器だった。

 その砲弾を、躊躇無く彼女に撃ち込んできたのだ。

 咄嗟に身を捩り、再度海中に潜って回避する。

 直撃こそ免れたものの、爆風と衝撃、そして間近での轟音だけはかわしきれず、水中を放り出されるように転がった。

伊58「い……あ……」

 微かに裂傷を負い、耳は音に痺れる。

 そこから更に砲弾が、今度は海中を狙うように垂直に振ってきて、パニックになりながらも追い詰められるのだった。




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