53:名無しNIPPER[sage]
2015/01/24(土) 02:15:07.03 ID:y9xDVq4jO
「おいおい、泣くなよ」
「櫻子……櫻子ぉ……」
あの時と同じ涙が私の頬を伝う。
弱虫の涙は櫻子の白いワンピースに溶け込んで消えていく。
結局私は、少しも強くなんかなっていなかった。
弱い自分をひた隠すために、重い鎧で理論武装を施していたに過ぎなかった。
弱かったから、周りの視線を気にしてしまった。
弱かったから、非難され、傷付くことを恐れた。
「よしよし……」
櫻子は泣き止まない私の頭を優しく撫でながら微笑む。
弱虫の涙は枯れることを知らない。
それもそのはずで、この涙は私が数年間、ずっと我慢してきたものだったから。
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