過去ログ - 灼「あっちが変」豊音「こっちが変」
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28: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2015/01/28(水) 20:17:55.48 ID:MJO3ZfqGo

憧「……玄がなんかやった? 灼さんが喧嘩の原因作るとは思えないんだけど……」

 もう憧は、私と玄が喧嘩をしたと断定しているらしい。

 玄と違って察しがいい。

 もう、先ほどあったことを憧に話してしまったほうが楽かもしれない。

灼「――――あ」

憧「? なに?」

 失念していた。

 そうだ。憧もまた、手を温めるならおもちで、という異文化に親しんできた人間……。

 先ほどのことを話しても、どうせ玄のように私が変だと言うに違いない。

灼「……いや、なんでもない。とにかく、察しのとおりだよ。今日のところは気まずいから帰る。またね」

 乗りかかった船だから、部を辞めようとまでは思わない。

 けれど、今はとにかく落ち着く時間が欲しい。

憧「……だめ」

灼「え」

 ブーツを履き、帰ろうとする私の手首を憧が掴んだ。

 靴を脱ぐために手袋を外していた憧の手はひやりと冷たい。

 相対的に、自分の手にある温もりに気づく。

 玄のおもちで良好な血流を取り戻した、自分の手の温もりに。




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