過去ログ - キタキタオヤジ「北北中学出身、アドバーグ・エルドル」キリッ  キョン「!?」
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1:名無しNIPPER[saga]
2015/01/29(木) 22:26:21.88 ID:FYEeml9A0
「この中に、キタキタ踊りに興味がある人がいたら私のところにきなされー!」


流石に振り向いたね。

半裸で腰ミノ一丁、丸坊主の男。

禿げ上がった頭がキラキラと照明を反射してやけに眩しかったのを覚えている。とんでもないオヤジがそこにいた。

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2:名無しNIPPER[saga]
2015/01/29(木) 22:35:12.08 ID:FYEeml9A0
オヤジは周りの反応を確かめるかの如く、まるで鷹のような鋭い目付きでゆっくり教室中を見回してから、「ふむ」と一言だけ呟いて着席した。

「どうやら、このクラスには照れ屋が多いようですな」なんてことを小声で言っていたがまさか冗談だよな?

おそらく全員の頭の中に疑問符が浮かんでいたと思う「あれって制服?」


3:名無しNIPPER[sage]
2015/01/29(木) 22:44:57.39 ID:rOY220f/O
なんという組み合わせw


4:名無しNIPPER[saga]
2015/01/29(木) 22:46:42.55 ID:FYEeml9A0
その後、後ろの席の女が「この中に宇宙人、未来人」とかうんたらかんたら言っていたが、多分、誰も聞いちゃいなかった。今、クラス中の関心と視線は一人のオヤジに注がれていて、「あの人、何年留年してるんだろう……」とかそんなヒソヒソ話で一杯だったからな。

やがて担任の岡部が「あー、涼宮……もう座っていいぞ」と言い出したことでさっきからずっと立っていた女は何故か地団駄を踏みつけながら着席した。

俺は未だに振り返ったままオヤジを凝視していたから、どんな表情だったかまでは見えなかったけどさ。
以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2015/01/29(木) 22:48:49.08 ID:FYEeml9A0


こうして俺たちは知り合っちまった。


以下略



6:名無しNIPPER[sage]
2015/01/29(木) 22:51:55.40 ID:7qa//GYlo
なんという出落ち感wwwwww


7:名無しNIPPER[saga]
2015/01/29(木) 22:56:23.31 ID:FYEeml9A0
このように一瞬にしてクラス全員のハートをいろんな意味でキャッチしたキタキタオヤジだが、翌日以降しばらくは割とおとなしく一見無害なオヤジを演じていた。

嵐の前の静けさ、という言葉の意味が今の俺にはよくわかる。

意味不明な自己紹介から数日後、忘れもしない、朝のホームルームが始まる前だ。何を思ったのか、オヤジは俺に突然話しかけてきた。
以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2015/01/29(木) 23:04:40.92 ID:FYEeml9A0
「私の自己紹介を覚えておいでですかな?」

「知らん」

腕組みをして口をへの字で結びながら、俺はオヤジと可能な限り目を合わさないようにして答えた。
以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2015/01/29(木) 23:13:29.84 ID:FYEeml9A0
思わず「すみません」と謝ってしまいそうになるくらいの冷徹な口調と視線だったはずだが、オヤジは意に介した様子は全くなかった。

「キタキタ踊りは実に素晴らしい踊りでしてなー。神を祀るための神聖な踊りなのですぞ。この踊りを踊ると福を呼ぶと伝えられておりましてな」

「知らん。頼むからもう話しかけるな。やめてくれ」
以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2015/01/29(木) 23:27:53.29 ID:FYEeml9A0
この時、担任の岡部が教室にやって来たことで俺はどうにか救われた。

オヤジが残念そうに自分の席へと戻っていく。

そのことでほっと一息ついていたら、不意にこちらに視線を寄越していたかなり可愛げな、だがきつい顔をした女と目が合った。そいつは何か言いたげにこちらを見ていたが、結局何も言わずに自分の席へとついた。
以下略



11:名無しNIPPER[sage]
2015/01/29(木) 23:31:47.00 ID:e+5peLFUO
北北中学ワロタ


12:名無しNIPPER[saga]
2015/01/29(木) 23:40:53.97 ID:FYEeml9A0
とまあ、おそらくファースト・コンタクトとしては最悪の部類に入る会話のおかげで、流石にあのオヤジも俺に関わらない方がいいのではないかと思い始めたんだろう、そのまま一週間が経過した。

オヤジはその間、通訳もつけずに日本に宣教にやって来たフランシスコ・ザビエルのように誰彼構わず話しかけてキタキタ踊りの勧誘を行っていたが、文化と常識の壁は大きく、当然、誰にも相手をされることがなかった。

だが、ごくたまに無謀と勇気をフル動員させる輩もいたりして、どうにか会話をしようと試みていたが、いかんせん相手が相手だ。


13:名無しNIPPER[sage]
2015/01/29(木) 23:43:13.85 ID:dyM5sHPyo
これは期待


14:名無しNIPPER[saga]
2015/01/29(木) 23:49:27.35 ID:FYEeml9A0
「その……ど、どうしてそんな格好をしてるの?」

「これがキタキタ踊りの正装ですからな」

ハッハッハと笑うキタキタオヤジ。そんなことを訊いているわけじゃない。
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2015/01/29(木) 23:58:51.50 ID:FYEeml9A0
とまあ、こんな感じだ。

普通に応答するならまだしも、常にキタキタ踊りの後継者の話へと持っていくので、全員が逃げ出すことになる。

「怖かったよ怖かったよ」
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2015/01/30(金) 00:01:34.12 ID:fEJkfH3+0
そして、その日の昼休み。

俺は中学が同じで比較的仲が良かった国木田と、たまたま席が近かった北北中学出身の谷口という奴と机を同じにしていた。

キタキタオヤジの話題が出たのはその時である。


17:名無しNIPPER[saga]
2015/01/30(金) 00:12:24.56 ID:fEJkfH3+0
「お前、この前キタキタオヤジに話しかけられてたな」

「知らん。俺の記憶にはない」

谷口はゆで卵の輪切りを口に放り込み、もぐもぐしながら、
以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2015/01/30(金) 00:21:14.29 ID:fEJkfH3+0
「そ。中学時代にもわけの解らん事を言いながらわけの解らん事を散々やり倒していたな。有名なのが、わきでおにぎり事件」

「何だそりゃ」

「調理実習の時間があるだろ。その時、白米だけを持ってきて信じられないぐらいのスピードで、わきでおにぎりを量産していったんだ」
以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2015/01/30(金) 00:34:43.69 ID:fEJkfH3+0
「あ、それ何か聞いた覚えがあるな。一時期、ネットで話題になったよね」

と国木田が涙をだらだら流しながら言う。俺は卵焼きを口に放り込んだ。わきの味がしたような気がしてすぐに吐き出した。

「当然、何でそんなことをしたんだって話になるよな。校長室にまで呼ばれてたぜ。教師総掛かりで問い詰められたらしい」
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2015/01/30(金) 00:40:19.46 ID:fEJkfH3+0
「他にもいっぱいやってたぞ」

谷口は半分以上残った弁当をしまいつつ、

「朝、教室に行ったら天井から吊り下げられててな。その下では焼き肉の鉄板があってそれを箸で食べていたなんてこともあったな。屋上から何かに突き落とされたような感じで落下したこともある。地面には人型の穴が空いていたけどピンピンしてたぜ」
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2015/01/30(金) 00:47:11.78 ID:fEJkfH3+0
そのキタキタオヤジだが、四時間目が終わるとすぐ教室を出ていって五時間目が始まる直前にならないと戻って来ないのが常だ。弁当を持ってきている様子はないから食堂を利用しているんだろう。

しかし昼飯に一時間もかけないだろうし、そういや最近は授業の合間の休み時間にも必ずと言っていいほど教室にはいない。多分、キタキタ踊りの勧誘に忙しいんだろう。いきなり見も知らぬ腰ミノ姿のオヤジに話しかけられた多数の被害者には同情を禁じ得ない。

「そう言えば、涼宮ハルヒも休み時間には大体いないな」
以下略



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