過去ログ - キタキタオヤジ「北北中学出身、アドバーグ・エルドル」キリッ  キョン「!?」
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128:名無しNIPPER[saga]
2015/02/02(月) 19:55:06.19 ID:K2dvtMGW0
そして翌日の朝。

学校へと続くひたすら長い坂をえっちらおっちらと登って汗だくになりながら教室に入ると、当たり前のようにキタキタオヤジがいて、いつも通りぴんぴんしながら朝のキタキタ踊りを踊っていた。

その横にはメケメケが四匹(四頭?)いてメケメケ鳴いていた。
以下略



129:名無しNIPPER[saga]
2015/02/02(月) 20:02:34.69 ID:K2dvtMGW0
俺は毎度の如く鞄を席にもおかずキタキタオヤジに絡まれないようそっと教室の隅へ。

昨日の件は一旦棚上げにして、ハルヒが来るまでそこで携帯ゲームでもして時間を潰す。オヤジからの避難のためとは言え、いつのまにか朝のホームルーム前の時間はここでハルヒの文句を聞くのが日課となっていた。まことに習慣というのは恐ろしいものである。


130:名無しNIPPER[saga]
2015/02/02(月) 20:21:58.53 ID:K2dvtMGW0
ほどなくして、ハルヒも教室に姿を現した。いつも通りの仏頂面で、予想はしていたがいつもよりも元気がなさそうに見えた。あいつも同じく鞄を席にも置かず、オヤジに絡まれないよう教室の隅へ。

「…………」

無言で俺の隣に来て、腕を組みながら掃除道具入れのロッカーにもたれかかる。
以下略



131:名無しNIPPER[saga]
2015/02/02(月) 20:37:16.39 ID:K2dvtMGW0
オヤジの方に視線を出来るだけ合わさないようにしながら二人とも無言で席へ。鞄から筆記用具を取り出し――ん? なんだこれは?

妙な感触を覚えて取り出してみると、昨日長門からもらった花の髪飾りだった。すっかり忘れていた。そういえば鞄に入れっぱなしにしていたんだったな。

それを手に、はてどうしたものか、捨てるのもなんだか気が引けるしな、などと考えていたら、突然ハルヒの声。
以下略



132:名無しNIPPER[saga]
2015/02/02(月) 20:49:45.60 ID:K2dvtMGW0
しかし、困った。女装趣味があると誤解されるのは嫌だったし、持っている理由を追求されるのも嫌だったからな。

そこで俺は、何でだろうな、自分でもよくわからん。何をとち狂ったのか血迷ったのかは知らんが、それをハルヒに向けて差し出していた。

「良かったらやるよ。もらいもので悪いけどな」
以下略



133:名無しNIPPER[saga]
2015/02/02(月) 21:12:35.44 ID:K2dvtMGW0
「たまたま知り合いからもらったんだ。俺が持っていても仕方がないし、捨てる訳にもいかないし、だからお前に渡そうと今思っただけで、ただそれだけだ。嫌なら別の誰かに渡すつもりだし、特に深い意味はない。誤解するな」

なぜかずいぶんと言い訳じみた言葉になってしまったが、ハルヒは納得してくれたようである。しばらく俺の顔と髪飾りを確認するように交互に眺めていたが、やがて口の端を微速度撮影のように上げて、

「まあ、そういうことだったらもらっておいてあげるわ。丁度なにかアクセントが欲しかったところだし」
以下略



134:名無しNIPPER[saga]
2015/02/02(月) 21:17:49.41 ID:K2dvtMGW0
その日の午前の授業中、俺はハルヒの後頭部――時折揺れる尻尾と、その右斜め上あたりにちょこんと咲いている謎の花――を眺めながらぼんやりと過ごした。ハルヒも特に何か言ってきたりはしなかったからな。

そういや校則違反にならないのか、この髪飾り?

まあ、俺は教師でも風紀委員でもないから別にいいんだけどさ。


135:名無しNIPPER[saga]
2015/02/02(月) 21:42:49.64 ID:K2dvtMGW0
思うにだ。

今、考えてみると、この時の俺はハルヒってやつを過小評価し過ぎていたんだと思う。

あれだけオヤジに邪魔されながらも、それをかいくぐるために自分でクラブを作ってどうにかしようなどと考える奴だ。かなりアグレッシブな考えの持ち主だと言える。
以下略



136:名無しNIPPER[saga]
2015/02/02(月) 21:51:49.64 ID:K2dvtMGW0
「キョン、聞いて! 朗報よ、朗報!」

廊下をドリブルで五人抜きするのような速度で教室に飛び込んで来たかと思えば、ハルヒはヘディングするような勢いで俺の目の前まで飛んで来て、逆転ゴールを決めた瞬間のような飛びっきりの笑顔を見せた。朝から現在に至るまでの数時間の間に一体何があったんだ。

「誰も使っていない部室を見つけたのよ! これであたしたちのクラブが作れるわ!」
以下略



137:名無しNIPPER[saga]
2015/02/02(月) 22:15:44.77 ID:K2dvtMGW0
しかしまあ、絶好調時のハルヒが俺の話を聞くはずもない。大きな目をらんらんと輝かせて、

「ホント、あたしも迂闊だったわ。今までずっと見落としていたなんて。なにも元からある部室を拝借する必要なんかなかったのよね。家主に断りを入れる必要もないし、今回は何の問題もないわよ。安心して」

何を安心すればいいんだろう。逆に不安が募るばかりだ。
以下略



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