過去ログ - キタキタオヤジ「北北中学出身、アドバーグ・エルドル」キリッ  キョン「!?」
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354:名無しNIPPER[saga]
2015/02/11(水) 01:03:46.96 ID:Ck/XJ2Id0
朝倉は俺の肩へと流れるように手を伸ばすと、もう片方の手は優しく頬へと当てた。まるで慈しむような瞳をじっと向ける。

さっきまで思い出したように聞こえていたブラスバンドの演奏が不意に止まった。

喧騒も同時に消え、無音の世界。

そっと朝倉が目を閉じた。そのまま柔らかそうな唇をゆっくりと俺の口ではなく鼻の穴へと寄せ、どんなプレイなんだこれはと俺は完全に固まり、その強張った体をほぐすようにして朝倉は――

「何やってんの、あんたら」

摂氏マイナス273度くらいに冷え切った声が俺と朝倉の両方を凍り付かせた。通学鞄を肩に引っかけたハルヒが、父親の痴漢現場を目撃した帰りに母親の浮気現場に出くわしたような顔で立っていた。

止まっていた朝倉の時間が動いた。「違うの、これは」と慌てたように俺から離れ、自分が不治の病を宣告されたとしてもそうはならないだろうと思われるぐらい蒼白な顔で、

「キョン君の肩に埃がついてたから、それを取ろうとして……」

流石にその言い訳には無理があったのだろう。知らない内に庭に放棄されていたコンクリートブロックでも見るような目で、ふん、と鼻を鳴らすハルヒ。

明日で世界が終わることをニュースで告げられたかのように怯えている朝倉を無視して、ハルヒは足音高く近寄って俺を見下ろし、

「あんた、ポニテ萌えじゃなかったの?」

「……何のことだ?」

「前に会った時、そんなこと言ってたじゃない」

そうだったか? と思い、記憶を辿ってみたが、少なくとも俺の覚えている範囲では一回もそんなことを言った覚えはない。

「いいや」

「あ、そう。じゃあ人違いね」

ハルヒは頭の後ろで一つにくくっていたゴムをやにわむしり取るように外すと、

「今日はもう解散!」

ほどけてバサリと揺れる長い髪。それをたなびかせながら、まるで魔法が解けてしまったシンデレラのように早足で部室から出ていってしまった。


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