過去ログ - 提督「放置してみる」艦娘「放置された」
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3: ◆p5cDRlL7.w[saga]
2015/01/31(土) 15:06:47.81 ID:UZcVebBP0


ヴェル「────────♪」

提督「………………」

 
 わずかに開いたドアから覗き込む。

 『少し席を外すけど、執務はそのまま頼む』と言って部屋を後にしたはずだった。その時はまだ、秘書であるВерныйは書類と睨めっこをしていた。
 が、戻ってみるとこれだ。本来は提督である俺が座るはずの椅子は彼女に占領され、おまけに執務は放棄しているように見える。
 なんとも愉快な様子で両足を前後に動かしている姿は、今にも鼻歌が聞こえてきそうだった。


提督「……何をしてるのかな」

ヴェル「あ、し、司令官!?」

ヴェル「これはその…………」

提督「そんなに椅子が心地良かったか?」

ヴェル「……頼まれたことを放棄してしまってすまない」

提督「……まあ、ぶっちゃけ言うと俺もよくサボるし気にしてないけどな」

ヴェル「……………………え?」


 よくサボる身として、艦娘が執務を怠けることにとやかく言えるような筋合いはない。
 むしろこちらとしてはご機嫌なВерныйをしばらく眺めていたいようなそんな気もしたが、それだと用事に遅れてしまうのだ。
 それにこれ以上突っ込まれると都合が悪かった。

 驚いたような目をしている彼女を遮るように、急用で外出することを伝える。


提督「────てなわけで、しばらくの間は留守を頼めるかな?」

ヴェル「私でいいのかい?」

提督「『信頼できる』からな」

ヴェル「そこまで言ってくれるなら……引き受けよう」

提督「ありがとう。一人で大丈夫か?」

ヴェル「大丈夫だよ。私は一人でも」

提督「そうか」


 『私は一人でも』という言葉が、なぜかいつもより明るく耳に残る。思えば着任したときに比べると随分と明るくなったものだ。表情がわかりにくい子ではあるが、そんな中でも感情がわかるようになった。長い付き合いだからだろうか?
 
 そんな思考を巡らせながら、見送られて執務室を後にする。





ヴェル「大丈夫だよ。私は一人でも」

ヴェル「……今はもう、『独り』じゃないから」

ヴェル「ね?司令官……♪」




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