過去ログ - 提督「放置してみる」艦娘「放置された」
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6: ◆p5cDRlL7.w[saga]
2015/01/31(土) 15:07:48.38 ID:UZcVebBP0
 

 昼下がり、執務室。夜は騒がしい軽巡と二人、暇を持て余している。
 こちらは書類がすべて片付き、向こうは夜戦がないと聞き今日のやるべきことを終えた様子だ。というより、川内のほうから昼間の出撃を願い下げされたというべきか。
 机に突っ伏してボーっとする俺と、窓際で腕を組んで、同じくボーっとして遠くを見つめている川内……傍から見たって明らかに暇だということは一目瞭然だろう。


川内「…………提督?」

提督「ん」

川内「何かやることないの?」

提督「何かって……そのやることを願い下げてきたのはどっちだ」

提督「それともなんだ、退屈なのか?」

川内「ん……べ、別に退屈とかしてないし……」


 窓際で腕を組む川内はどことなく落ち着かない様子に見えた。
 彼女が落ち着かない時というのはパターンがある。夜戦のときと、図星を指された時だ。今は間違いなく後者だろう。
 つまるところ退屈しているのだ。『退屈とかしていない』と強がるわりに、きっとものすごく退屈しているに違いない。
 腕を組んだまま崩さず時々足首を曲げてみたり、指でよくわからないリズムを取ってみたり……。多種多様な落ち着きのなさは、見ている側としてはなかなかに面白いものだった。
 
 そんな落ち着きのない退屈そうにしている────本人は違うと言い張るが退屈そうにしている────様子を眺めていると、ふと笑みが零れてしまう。


川内「……してないんだから!本当よ?」

提督「誰も疑っちゃいないぞ」

川内「でも提督、いま少し笑ったでしょ?」

提督「気のせい気のせい」


 不機嫌そうな様子で窓際に居座るが、相変わらず落ち着きは取り戻せていない。しかめっ面をしては時折こちらを見たり、再び遠くを見つめてみたり、そんなことを繰り返している。
 いつも元気な笑顔でいるイメージが強いが、そんな川内のしかめっ面というのも見ていて飽きないものだった。


川内「ねえ、提督?」

提督「今度はなんだ」

川内「提督は退屈じゃないの?」

提督「……………………」

川内「…………提督?」

提督「…………ふふっ」

川内「──────────!?」


 こんなにも変化に富んだ空間にいるのに、退屈などするはずもないのだ。それを提供してくれている川内に聞かれたものだから思わず笑ってしまった。
 
 向こうはというと案の定笑った理由が分からずに何やら騒ぎ立てているが、その姿さえこちらに楽しい時間を提供している。
 それを知る由もない彼女はこの後どんな表情を見せてくれるのかと想像を働かせると、きっとまた顔が綻んでしまうのだろう。




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