130: ◆TI638OYiZI[sage saga]
2015/02/01(日) 23:07:37.41 ID:BPoS8XS7o
二・三十分もすると、登校して来たクラスメイトたちの声で、教室内は徐々に騒がしく
なってくる。一言二言の簡素な挨拶だけを交わし、あたしは仕事を続けていた。
その時だ、橘君がやって来たのは。人の気配に顔を上げると、机をはさんだ所に橘君が、
遠慮がちな様子で立っていた。
「あら、おはよう橘君」
「おはよう、絢辻さん」
普段、遅刻ギリギリで登校して来るようなこのクラスメイトが、わりと早い時間に
いることに、まず驚いた。
「今日は早いのね?」
「うん。たまには早起きしようと思ってさ」
結構なことねと思いつつ、あたしの意識は早くも机上の仕事へと戻りかけていた。
しかし、橘君が立ち去る様子はない。
「もしかして、私になにか用があるのかな?」
「あ、うん。そうなんだ」
なら最初からそう言って欲しい。
「実は絢辻さんに渡したいものがあってさ」
「えっ?」
「はいこれ、修学旅行のお土産」
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