18:魔法をかけて
2015/02/05(木) 11:44:56.31 ID:cXoZSP9h0
しかし、春香はすぐに答えた。彼女の答えは決まっていた。彼と彼女の信頼は言葉にはできない強いものだと感じた。春香ならこの逆境を変えてくれる。そんな期待をもった時だった。フェスの一週間前、プロデューサーが倒れた。原因は過労。働きすぎだった。彼は私たちのために時間を費やしすぎた。
事件を聞いて唯一取り乱さなかった少女がいた。春香だった。春香はプロデューサーが無理をしているのをずっと前から気づいていた。しかし、止めなかった。止めることが出来なかった。彼女たちのどちらかが止まってしまえば私たちの事務所に後はない。絶望的な状況でも春香は焦らず、みんなの力をかして欲しいと頼んだ。私一人では今度のフェスは成功できない。だからみんなに協力して欲しいと頼んだ。私たちはフェスまで付き切りで春香の練習を手伝った。間近で彼女の練習を見ることで自分とのレベルの差を思い知った。同時に追いつこうとする気持ちも湧き上がった。春香は完璧な仕上がりでフェスに臨んだ。私たちも応援に駆けつけたが、一戦目の結果で現実を思い知らされた。
「我那覇響」と言うアイドルは強く気高く逞しかった。彼女のプレッシャーに観客の私が押しつぶされそうになる。しかし、春香は違う。彼女は誰よりもこのフェスを楽しんでいた。この圧倒的な点差を見ても彼女は笑顔のままだった。
春香「私はこの輝きの先になにがあるか知りたいの…知ってみんなに伝えたい…だって私は…『アイドル』だから!」
彼女の叫びとともに曲が始まった。鼓膜を破くような歓声が聞こえる。そして、事件は起きた……
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