過去ログ - 勇者「君じゃ主人公は務まらない」
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245: ◆4S1Ttn1X06[saga sage]
2015/03/07(土) 21:58:53.27 ID:0Z4uau1h0


姫「少し歩きませんか。この城の構造も把握しておかないといけませんから」

A「あぁ、それはいいな。覚えておいて損はないだろう」

姫「……では、行きましょう」

A「……」

姫「……」

A「……王国の城も、こんな感じだったな」

姫「お城だけではないですよ。窓から広がる光景も、あんまり変わらないんです」

A「魔王の国にも、当然ながら住んでいる奴らはいたんだよな。知らず知らずの間に、俺なんかは、国と国の戦争じゃなくて、王国と魔王の戦争みたいに勝手に勘違いしていたんだ」

姫「魔王を目の敵にしていましたからね、王国は」

A「…………」

姫「……なんだか、疲れが取れていないようですね」

A「多分、ずっとなんだ。王国を抜け出した時から、ずっと」

姫「失ったことで空いた穴は、そう簡単に埋まってはくれませんか」

A「そうかも知れない。……勇者のことだって、この前までは頭から離れたこともなかったのに、今ではふとした拍子に思い出すくらいだ」

姫「それは、優先順位が変わったのでしょうね。復讐から、生き残ることへ。ようやく自分を見つめ直すことが出来て、今は混乱しているだけですよ」

A「自分を見つめ直す?……そんなことしたって、今更、分かり切っていることしか、見えてこないだろ」

姫「……自分も愛せなければ、世界を受け入れることも出来ないと思います」



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