過去ログ - 僧侶「貴方を待ち続けて」
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65: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/12(木) 19:44:56.15 ID:zorRjnWi0
今までの人生、戦って、食って、寝てを繰り返し、ほとんど変化なく過ごしてきた。
早熟な魔人族に生まれ、物心ついた時からずっとそうだった。
魔王に命じられるまま、人間相手に暴れた。深く考えたことはなかった。
自分に人望はなく、部下を任されることもなかった。煩わしいことを嫌ったので、その方が良かった。

誰かと接し、人の気持ちを考えることについて経験不足だった。


だからか――


僧侶『私が大怪我をした貴方を見つけたことにも、助けたいと思ったことにも、意味があると思うんです』

誰かの無条件な優しさに触れたことも、

僧侶『でも逃げたから今生きてるんじゃないですか?』

それでいて、突き刺さるような言葉を言われたことも、

僧侶『だ、駄目ですよ。そういう話はデリケートなんですからー』

俺が何か言えば感情がコロッと変わることも――

要するに全てが新鮮だった。人の気持ちに触れる、という体験は。
それは決して自分にとって不快なものではなかったが、踏み込むのに躊躇してしまって。

自分に何か言い表せない、新しい気持ちが芽生えようとしている気がした。だけどその気持ちを育ててしまっては、自分が自分でなくなるような、そんな恐怖心もあった。
恐怖心――それは自分にとって否定したい気持ち。だから新しい気持ちが芽生えることから、目を背けようとする。

正直言うと、俺は現状に戸惑っていた。


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