71: ◆WnJdwN8j0.[saga]
2015/02/14(土) 18:43:34.30 ID:KW2Os1hn0
>翌日
僧侶「…」
女はだんまりだ。抱えられていることへの羞恥心だろうけど。
気にしないようにして、俺は全速力で駆けた。
魔人「怪我、ほぼ完治したみてぇだ」
僧侶「そうですねー…」
この女の元を去る時が近付いているわけだが、これに対し女はどう思っているのか。
相変わらず何も考えていないのだろうか。…だとしたらムカつくな、少しだけ。
僧侶「あのー…どこまで行くんですか?」
魔人「まぁ、あと少しだ」
猫野郎に聞いた話ではこの辺に――
感じ取った。人間達の匂いだ。
魔人「この辺だ。ちょっと下ろすぞ」
僧侶「あ、はい」
魔人「俺はちょっとこの辺で用事を済ませておく。お前は…あっちに人間の集落があるから、そこにいろ」
僧侶「わかりました」
杖をつきながら集落に向かう女の背を見送る。
胸に感じるのはもやっとした違和感。これは何という感情なのか。
自分は魔人だから、人間達の集落に入れない。だからこの先起こることを見られない。
魔人(違うか…)
それはただの言い訳で、見られる状況だったとしても、自分は目を背けただろう。
それが女への配慮なのか、それとも気まずいからか、答えはわからない。
だがそのどちらも、以前の自分では考えられない理由だった。
自覚しそうになった慣れない感情から目を背け、俺は自然とその場から足が遠のいた。
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