過去ログ - 唯「ピンク・ビック・バスタオルを買いに」
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11:名無しNIPPER[sage saga]
2015/02/07(土) 19:29:35.83 ID:HzA0YEX8o
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その日はとてもたくさんの雨が降って、風がびゅーびゅー吹いてた日だった。
がたがたと窓が揺れ、ぴしぴしぴしぴしと雨の跳ねる音がした。
そのせいでわたしは目が覚めてしまって、ひとりベッドの上で布団にくるまりながら座っていた。
雨の音を聞いてた。
がたがたぴしぴし。
がたがたぴしぴし。
あずにゃんはどうしてるだろうと思った。
あずにゃんは雨の日だと、空を飛べなくなってしまうのか、わたしはよく知らない。
髪の毛は水に濡れて重くなるから難しいんじゃないかとは勝手に思っているけど、あ
ずにゃんが空に飛び立つのはわたしが眠りについたずっと後の時間だから、ほんとのところはわからない。
わからないけど、べつに聞いてみる気にはなかった。
でも、いつか聞いてみてもいいかもしれない。
のどが乾いたので水を飲みに洗面所に行くと、そこにあずにゃんがいた。
埋もれていた。
バスタオルは棚から引っ張り出され、積み上げられたものは見事に崩され、山のなか。
あずにゃんはちょこんと座っていた。
あずにゃんはわたしを見るとなんだかちょっとあせって、それでさらにバスタオルの山のなかに身を沈めた。
どしたの、あずにゃん?
わたしは言った。
あずにゃんは、はあ、とため息をついて答えた。
だってほら、今日は台風が来ていますし、顔でも洗おうと洗面所に来たらバスタオルにけっつまづいてこのざまですよ。
どうせ空も飛べないし綺麗に整頓しようと思ってたんです。
あずにゃんはどじだねっ!
そんなことはないですけど……。
がたがたぴしぴし。
ざあざあ。
あれ?そんなバスタオルなんかあったっけ?ほら、あずにゃんのすぐ横のやつ。
あずにゃんは自分の右側のまんまるの猫のキャラクターがプリントされたバスタオルを手にとった。
そうそう、それだよ。
これは、あれですよ、唯先輩が大学生のときともだちと旅行に行って買ってきたやつじゃないですか。
え、そだっけ?
そうですよ、旅行に行ったくせにお土産がどこでも買えるバスタオルだったんだから、はあって感じでしたよ。
あずにゃんはわざとらしく、はあ。
まあこんなにたくさんあるんだから忘れるのもしかたないですけど。
ていうかその旅行自体が……。
まじですか?ともだち悲しみますよ。ほら、なんか長野のほうでしたっけ?山とか行って、バンジージャンプとかしたって言ってましたっけ。
あ、あー!あった、あったね。思い出したよ。
なんで、わたしが覚えてなきゃいけないんですか。はあ。
べつに頼んではないよ!
そういう意味じゃなくてですね、はあ。


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