101:名無しNIPPER[saga]
2015/02/19(木) 23:52:46.63 ID:3ulpgrad0
百十五日目
拠点へ帰る前に、覚や子供たちに会う。子供たちは畑作りに従事しており、前に比べれば表情も柔らかくなったように見えた。ここなら、今のところは外のゾンビにおびえる生活をする必要はないからな。
覚に会いに行くと、待っていましたという言葉と共に、出迎えられた。彼女はベッドの上に座ってたたずんでいた。
迷っているのですか、そう静かに尋ねられて、正直なところそうだなとそのまま答える。頭の中を見透かされている以上、なんであるかについて、答える必要はない。ある意味では、伝えることに間違いがないというのは、気楽なことかもしれない。
私にもそれに関して知る人間の知識はありません。ですから、お答えできることはないのですが。と前置きをした後、少なくとも新しい道を考えるのであれば、一度は確認しにいったほうが間違いはないかと思いますよと、アドバイスをもらった後。貴方に会いたがっている人がいます。昨日お話されたこととは別の用件のようですね。というので、わかった。元気そうでよかったよと去ろうとすると、死なないでくださいねと言われ、俺の気持ちを汲み取ったのか、少し苦笑いして手を振った。
覚がいう相手、エクスに顔を出すと、渋い顔をしていた。どうしたのかと聞くと、今後の無線連絡についてだった。確かに避けたほうが無難と言っていたのを思い出していると、どうも自分たち以外にも組織だった連中がいるかもしれないという話だ。
自分がハッキング中に、しかもシェルターや研究所に関して探ると、自動防衛システム以外にも、人為的にブロックされている形跡が見受けられ、作為を覚えるということだ。
具体的な材料があることではない。あくまで、ハッカーとしてエクスの経験に基づく話ではあるが、不思議とそのことを受け入れていた。ありえる話として。
この周辺にそいつらがいるとは思えないけれど、もし、無線を傍受されて居場所を特定された時、何が起こるかはわからない。それが彼の意見だった。
一時無線連絡は、ネット上でのその件が解決するまでは、停止するように伝えて外に出ようとすると、シェルターも、もしかしたら向かうよう仕向けてるかもしれない。その言葉がやけに印象的だった。
拠点に戻り、シェルターについて話す。どうするのか、ということについては、都市攻略も始まったばかりだから、今は保留するとだけ伝えた。まだ自分の中で情報整理ができていないのも当然ある。
シェルター。今となってはパンドラの箱ってやつだな。
百十五日目終わり
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