過去ログ - 【うみねこ】salvation of the golden witch
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48:名無しNIPPER[saga]
2015/02/20(金) 21:43:58.81 ID:7Xs9w9MW0
「で、縁寿ちゃんは何が知りたいんだね?」

値踏みする様な目で縁寿を見つめる川端船長。

「あいにく私はただの船長だったんだ。人を乗せて、降ろす。私が出来た事はそれだけだったよ」

過去形で話す川端氏。そこには彼らの最後の目撃者としての苦悩がにじみ出ていた。

「川端さん、私が聞きたい事は『あの日』の事ではないわ」

「何?」

訝しむ川端氏に向かって、縁寿は尋ねた。

「九羽鳥庵について、川端さんが知っている事、あるのなら全て教えて」

しばし流れる沈黙。そしてついに、川端氏はその重い口を開いた。

「『偽書』は読んだのかい?」

「ええ。“Banquet”“Alliance”“End””Dawn”…全て読んだわ」

「偽書作家どもに話してしまった事は失敗だった」

「おじいちゃんに罪を感じる事はないわ。みんな多かれ少なかれ似たような扱いだし」

「そう言ってもらえると助かる」

「今から30年程前までは船で九羽鳥庵に物資を運んでいたと言うのは真実なの?」

「ああ」

「約20年間?」

「その事を話したのはわしだ。真実だよ」

「九羽鳥庵にいたであろうベアトリーチェに会った事はないのね?」

「ああ、わしは物資を運んでいただけだ」

「ありがとう。それさえ分かれば良かったの」

「これだけ、かい?」

拍子抜けした声を出す川端氏に縁寿は満足げな声で答えた。

「ええ充分よ。川端さんのおかげで、おじいちゃんに楼座伯母さんにベアトリーチェを助ける事が出来るわ」

「わしは、…役に立ったのか?」

「ええ。もちろんよ。川端船長」

「船長、…船長か。そうか。…わしは、船長だったんだな」

ずっと忘れていた事を思い出したかの様にその言葉を呟き、噛み締め、
ぎゅっと目を瞑る川端船長。目を開けた時、目元は濡れていた。

「縁寿ちゃん、本当にありがとう」

何に対しての「ありがとう」なのか。それはきっと川端氏にも分からなかっただろう。

「さあ、今度はわしの番だ。縁寿ちゃんの事を聞かせておくれ」

その後、川端さんに近況を話したりなどして時間は過ぎて行った。



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