過去ログ - 海未「 【あいするあなたへ.txt】 《最終稿》 」
1- 20
9:名無しNIPPER[sage saga]
2015/02/14(土) 05:27:31.76 ID:kqftSEkvo

《・・・だめです、考えれば考えるほど、遠ざかっていく気がします。

 穂乃果が言うように、あの人の好きなところを、どうして気になってしまうのかを、
 考えてはみたのです。

 姿かたちも、雰囲気も、つま先から指先まで、
 凛とした立ち姿、それでいてこちらにふと気を許した時の子供のような微笑み、
 私の名を呼ぶ声、時におどけたような、時に慕うような、時には諌めるような、
 それでいて、あたたかい、あの声。

 認めましょう、私は、どうしようもなくあの人を気にしてしまうのです。
 かつて、正しさに縛られて凍えたような目を見せたあの人は、
 その奥に押し殺していた子供のままの素顔も、
 まるで、いつかの私自身と、鏡に写したように感じて。

 あの人はいつか、おどけて私の頬に指を添えてみせました。
 そんな顔しないの、海未、なんて。
 こわばっていた私の輪郭が、いや、その奥にまで熱が伝うようで、
 自分のなかで生じた熱の正体がわからず、
 夜も眠れなくなってしまうほどでした。》




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
29Res/16.95 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice