過去ログ - [オリジナル] The Five Elements 〜New Contract Peach Warrior〜 
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10:名無しNIPPER[sage saga]
2015/02/14(土) 09:38:57.48 ID:638Opjkd0

「――唐突だけど、この世にはどうしても道理では説明できない現象があってね」


 広大な一室。
 見たこともない器具がひしめき合い、白衣を身に纏った大人たちが忙しそうに行ったり来たり……
 部屋の奥、防弾性のもののような分厚いガラスを一枚隔てて、その向こうには何もない体育館の中みたいな広々としたスペースが見える。

 そんな様相の一室で、周りを白いボードで簡単に仕切られた小さなスペースに通される。
 脚の部分にローラーが付いた軽そうなデスク、相対するように設置されたデスクチェア。まるで役所とか保健所とか職員室にある相談スペースのような…… 
 手前の椅子に座った俺におじさんがコーヒーを淹れてきてくれて、そんな言葉を放った。
 おじさんも自分の分のコーヒーカップを置いてから奥の椅子に腰掛けた。


「――あの…… これはどういう――」


 自分が置かれた状況をまったく理解できなかった。
 いきなり話があると言われて付いて行った先が学園で、更に敷地内にある高層ビルのようにそびえ立った研究棟(のような建物と思われる)に案内され、そして最終的にやって来たのがこの部屋……

 そもそも、何故こんな施設が学園に……
 いや、おかしくはない。
 確か専門技術系の学科があったし、それの実習施設などと考えれば頷ける。
 しかし大人の研究員がこんなに…… 
 これじゃまるで独立した研究所のような――


「――いきなりですまなかったね。これから説明していくよ」


 そう言うおじさんの顔はいつもの優しそうなそれだった。


「実は私はこの研究室の室長をやっていてね――」


 初耳だった。


「ああ……! コーヒーをどうぞ。インスタントで申し訳ないけど――」


 驚愕の事実をさも当たり前のように軽々しく放ったおじさんは、そう言ってコーヒーを一口含ませる。
 驚く俺を一瞥して、俺にもコーヒーを勧めてくれた。


「――あ、すみません…… いただきます」


 気持ちを落ち着かせるために俺も一口含ませた。

 確かに千春から、おじさんは何かの研究をしてるとかなんとかは聞いたことがある。
 だけどまさか彼がそんな権威のある人物だったとは知らなかった。
 まあ、「木ノ下家」ということを考えれば頷ける事実ではあるけれど。


「それで…… 自分は何故ここに――」


 問題はそれだ。
 ただの新入生の俺を研究室に勧誘…… なんてことはありえないし。そして俺は普通科だし。
 そして冒頭のあの言葉――


「――長くなるけど、まずはさっきの言葉について説明しよう」


 この世には道理では説明できない現象が存在する――

 おじさんの言葉を思い出す。
 一体どういうことなんだ?




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