過去ログ - [オリジナル] The Five Elements 〜New Contract Peach Warrior〜 
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2015/02/14(土) 09:03:12.75 ID:638Opjkd0

――ピピピピ……

 
 夢の世界の中、どこからともなく微かに警鐘が鳴り響いて来た。


(この音…… どこかで聞いたような)


 俺は夢の中にいる。
 この夢は今までの俺を振り返るような、そんな内容だった。


(まさか夢の中ではなくて、いわゆる走馬灯のような―― そんな状況だったり)


 俺は死ぬのだろうか。

 別にそれでもいい。
 そう思う。

 亡き父の面影がぼんやりと陽炎の様に揺らめいた。

 父は強かった。
 確立した威厳を持ち、そして弱きを救う強さと優しさを併せ持っていた。


――そんな父でも運命には逆らえなかった。


 俺がまだ幼い頃、父は死んだ。
 俺はその場面にはいなかった。家族からは不慮の事故で亡くなったとだけ聞いている。

 俺は亡くなる前の父があまり思い出せない。
 切り取られた遺影の表情ではなく、生きていた頃の記憶が薄らいでいるのだ。
 その代わり強く焼き付いているのは、魂が抜けて棺の中に眠る父だった「物体」の姿。

 そして俺は塞ぎ込んだ。
 父がいなくなった故の喪失感からなのかは分からない。
 いつしか学校では一人になっていて、理由もなく苛立って…… 「父のようになれ」、「父はあんなに立派だったのに」、そういう見えないプレッシャーに抗うように家族にも反抗していた。

 俺は最低だ。最悪だ。
 祖父母、母はこんな俺に手を差し伸べてくれていたのに、俺はそれを拒んだ。
 いつしか亡き父に憎しみに似た感情をも抱き始めていた。


――だから俺は逃げた。


 そんな感情や状況を振り切るように逃げた。




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