過去ログ - [オリジナル] The Five Elements 〜New Contract Peach Warrior〜 
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33:名無しNIPPER[sage saga]
2015/02/14(土) 11:04:00.16 ID:638Opjkd0

「――くそ! やられた!」
「まさかこんな時に限って――」


 廊下を駆け抜け、教室に飛び込む。


「――すまねぇ…… 和間」
「しょうがない…… 次のチャンスにかけよう」


 くそ…… どうしてこういう時に限って!


 心の内で何度も悪態をつく。
 教室には放課後のおしゃべりに耽る男女グループしかいない。
 そこに千春はいなかった。
 
 俺と朱彦ら掃除班はスピーディかつ丁寧に掃除をしたつもりだった…… いや、そうしていた。
 朱彦の激励(架け橋が崩れる危機が云々という大仰なもの)によって鼓舞された同じ班の男子生徒も協力に応じてくれていつもより早く掃除は終わったのだ。
 そしていつも通り担当の教師が進捗具合を確認しにやって来た。


(どうして…… こういう時に限って……)


 掃除はそこで終わるはずだった。
 しかしそんな俺達の鬼気迫るほどの集中具合を何か勘違いした教師が恐るべき一言を放った。


「――今日はなんか気合入ってるなー。いいねぇ、それじゃまだ時間あるし細かいとこやるか!」


 してやられた。
 まさにそんな状況だった。俺たちの熱意を上手く利用されてしまったのである。
 想定外の出来事だった。
 そうして掃除の時間が長引いてしまったのだ。
 しばらくはあの教師に何度も呪いの言葉を浴びせ続けることだろう…… 心の中で。


「もう帰ったみたいだな」
「そうだね……」


 千春の机を見ると、もうそこにはスクールバッグなど何もない。椅子も綺麗に机の内側にしまってある。帰宅してしまったということが一目瞭然だ。


「木ノ下さんは部活とかに入ってるのか?」
「いや…… 今のところ何にも入ってないと思う」


 学校で謝罪するチャンスは逃してしまった。
 となれば……


「それじゃまた明日、だな」
「そうだね…… 俺たちも帰ろう」


 男子の恨みを一斉に受ける可能性があるので誰にも言っていないが、千春と同じ屋敷に住んでいるわけで、まだ帰宅してから謝罪するチャンスが残っている。
 恐らく千春は帰宅したらいつも通り夕飯の準備をしているだろう。
 チャンスはその時だ……
 二人きりの時に済ませてしまわないと。おじさんが帰ってきて見られたら気まずいし。

 あれこれとくだらない雑談をしながら俺と朱彦は昇降口、下駄箱に向かいやがて校内を後にする。
 校門で別れて、俺たちはそれぞれ家路に就いた。




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