過去ログ - [オリジナル] The Five Elements 〜New Contract Peach Warrior〜 
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37:名無しNIPPER[sage saga]
2015/02/14(土) 11:16:09.41 ID:638Opjkd0

「――恐らくここで合っているだろう!」
「はい……!!」

 田舎道を車でひたすら山間に沿って行くことおよそ30分。
 周囲一帯を鬱蒼とした雑木林に覆われた道を行くと、その先にあるのは不気味な廃墟。
 正門は障害物や有刺鉄線で塞がれているが、ある一箇所は強引に破壊されたと思われる状態のスペースが空いているのが分かった。

――あれから俺はおじさんに連絡を入れた。

「すぐ迎えに行くから家で待っていてくれ!」

 とのことであったので、おじさんの到着をひたすら待った。
 数分経っておじさんが家に来て、おじさんの車に乗り千春がいると思われる教会跡へ向かった。
 どうやら朱彦が言っていたような噂がおじさんの耳にも入っていたらしく、「教会の廃墟と言えばあそこしかない」ということで迷うことなく辿り着くことができた。
 道中でおじさんは警察に通報し、「一刻も早く突入したい気持ちもやまやまだが彼らを待とう」という方針に至ったのだった。

「――駐在さんが来てくれた」
「良かった――」

 教会跡…… とは言うが、その建物はしっかりと取り壊されることなくそのまま残っていた。
 ただ噂は本当だったらしく、柵や建物自体に所々スプレー缶で落書きされている。
 そして一部は何者かによって破壊されていた。
 恐らく「心霊スポット」に肝試しに来た者がはしゃぎ回って好き勝手に荒らしていったのだろう。

 そうやって辺りを見回し、気持ちを落ち着けていたところで周辺の駐在所のものと思われるミニパトがやって来た。
 通報を受け近くにいる駐在所の警察官がいち早く来てくれたのだろう。
 まだ油断は出来ないが心強い存在が到着し一息つく。そして車を降りた。

 やがて警察官はおじさんと一言二言交わした後に破壊され空いたスペースから教会の敷地内へ進入していく。

「危険なのでここにいて下さい」

 警察官はそう言って入り口の扉へ向かって行った。

(千春…… 無事でいてくれ)

 中に入りたい。
 しかし警察官からの警告があって、そして「危険」の二文字が脳内でうごめき足がすくむ。

(くそ…… どうしてこんなことに!)

 まだ仲直りもしてない。想いを伝えられていない。

 警察官は大きな木製の入り口扉を押し開けた。
 施錠はされていない…… ということは…… 

(ここからじゃ中は見えない!)

 早く千春の安否を確認したいという一心。しかし恐怖が体を支配する。


 その時、警察官の叫びが響いて来た。

 教会内で木霊したそれはこもっていて、何かを「叫んだ」ということしか分からない。


「――千春!!」
「和間くん! 危険だ――!!」

 おじさんの制止を振り切って敷地に進入、入り口へ向かう。

 もう待てなかった。
 危ないのは分かっている。だが早く千春の顔が見たかった。
 心臓は早鐘を打ち、嫌な汗がじっとりと全身を覆う。
 足は振るえ、手も振るえ、呼吸さえも震える。
 早足が次第に駆け足へ変わり……

 遂に入り口は目の前だ。
 開いたままの入り口扉。しかし中は異様に暗く、警察官の姿さえ確認できなかった。

「――千春!!」



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