過去ログ - [オリジナル] The Five Elements 〜New Contract Peach Warrior〜 
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60:名無しNIPPER[sage saga]
2015/02/14(土) 12:24:59.33 ID:VF8Hn4hI0

 鬼と戦える力…… か。

「しかし、同時に鬼に狙われる危険性も高くなってしまった」

 五つの鍵…… 父さんの話が本当なら、鬼は俺と千春の鍵と残り三つあるそれを手に入れようとしている。

「信じられないがこれも運命なのかもしれない…… こうなった以上対策を練らなければならないな」
「そうですね……」

 運命…… そんな大それたものが本当にあるのかは分からない。
 だけど俺が、俺たちが目にしたものは紛れもない現実の話で、あの怪物も実在する。
 鍵が鬼の手に渡ってしまえば、この力はそのまま鬼のものになってしまい…… 人間への被害は深刻化するということだ。

「――運命」

 運命…… いや、これは必然だったのかもしれないと、今はそう思える。
 これは使命なのかもしれない。
 俺の一族に代々伝わる使命。親父から受け継いだ俺の使命……

――お前はお前の道を行け。

 少し前までは信じられなかった。受け入れられなかった。
 今だって半ばそんな状態だけど…… でも。

「千春、おじさん――」

 灰色の日々を脱出し、人並みに青春の日々を送れればいいと思っていた。
 だけど逃れられない現実に直面し、また新たな壁が姿を現す……

 大切な人たちがいる。
 守りたい人がいる。
 だから――

「――俺は父さんじゃないから、父さんのようにはなれない……
だから俺は俺のやり方で、俺の道を進んで行こうと思います。
全ての鬼を倒すとか、人類の平和を守るとか…… それも勿論大事だけど、そんな大それたことじゃなくて……
俺は俺の大切な日常を、大切な人たちを守るために。
これからはその為に生きていこうと思っています」

 もう逃げたくない。
 大切な人から、俺自身の人生から。

「そうか…… ありがとう和間くん。やはり真土くんの息子だ……
私たちも二人の為に精一杯協力させてもらうよ。
千春は、どうしたい――?」

 俺とおじさんの視線は千春へと注がれる。

「――私も和間くんと同じ。
危険な立場なのかもしれないけど…… 和間くんがいるから私は大丈夫。
大切な人を、大切な日常を守れたらいいなって…… そう思う」

 そう言って千春は綺麗に笑った。

「そうか…… ありがとう。
今日はもう遅いから、今夜はここで一旦解散しよう」


 やがておじさんはそう言って踵を返す。


「オホン…… そうだ、和間くん」
「――はい?」
「君が鬼と戦う戦士…… 桃太郎 になったことが上に知れ渡るだろう。
明日以降忙しくなるかもしれないが…… どうか人類の為に協力してくれると助かる」
「はあ…… はい――」

 忙しくなる…… どういうことだろうか。


 それだけ言ってからおじさんは部屋を静かに出て行った。
 真意を汲み取ることもできないまま、そうして夜は更けていく……




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