過去ログ - 千秋「あら、アナタは…」未央「えっ?」
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1:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 21:27:31.64 ID:Naqv58ceO
モバマス6話を見て書いてみた

注意
・アニメ最新話までのネタバレあり
・地の文多め
・ゆっくり投下します

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2:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 21:32:57.90 ID:Naqv58ceO
いつからだっただろうか。

私たち『ニュージェネレーション』のライブが始まったのは。

私がステージに足を踏み込んだ時は。
以下略



3:名無しNIPPER[sage]
2015/02/15(日) 21:34:29.57 ID:BuIss8Iz0
期待。


4:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 21:38:29.00 ID:Naqv58ceO
何も考えたくなくてただ全力で走り続けていたせいだろう、いつの間にか息が上がっていた。

ふと視線を横にやると、待ち合わせ用になのか休憩用なのだろうか、置いてあるベンチがぼんやりと目に入った。

走り続けた体が休息を求めて勝手に行動を停止させる。
以下略



5:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 21:45:37.38 ID:Naqv58ceO
「ねえ」

決して大声というわけではないがとてもよく通る声だった。
とても美味しい水のような、クリスタルのガラスのような、どこか気品を感じさせる透き通った声の方向に私の目が動く。

以下略



6:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 21:51:15.03 ID:Naqv58ceO
未央「はい……そうですけど」

その『さっき』までの私なら「サインですか?照れちゃいますねー」なんて笑いながら浮かれられていたのだろうか。

そう思いながら『さっき』までとは正反対の自嘲気味の笑顔を浮かべて答える。
以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 21:56:44.83 ID:Naqv58ceO
――知らないよ。そう吐き捨てるように言いそうになったが流石にそれは良心が咎めた。

未央「ちょっと飛び出してきちゃったから分かんないけど、二人ともまだステージの裏にいると思いますよ」アハハ

最後に漏れた笑いは誰に対する笑いだったのだろうか。
以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 22:01:48.66 ID:Naqv58ceO
未央「それは……」

でもいくらなんでも赤の他人に当たり散らしたら最低だ。必死に普段の自分を取り繕おうとする。

「まあなんにせよ……」
以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 22:08:09.79 ID:Naqv58ceO
――ダメだ。

未央「しょうがないじゃないですか!」

――止まらない。
以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 22:13:33.53 ID:Naqv58ceO
――顔も名前も知らない初めて会った人に。

未央「その時の充実感とかものすごい音の歓声とかが本当に嬉しくて!」

――ああ、本当に何を言っているんだ私は。
以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 22:18:48.58 ID:Naqv58ceO
――まずいよ。

未央「それに気がついたのはステージに立った後だなんて、もう面白すぎるよ!どんな顔して戻ればいいかわかんないよ!」

――これ以上はダメだ。
以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 22:24:06.04 ID:Naqv58ceO
涙が出そうになる。

でも涙だけは流したくなかった。

私なんかが涙を流すと『ラブライカ』の二人がステージ裏で浮かべていた涙まで汚してしまう気がしたから。
以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 22:29:48.92 ID:Naqv58ceO
未央「……なんで」

未央「どうしてそこまで言われなきゃいけないんですか?今日初めて会った人に」

私の言葉を彼女は無視して続けた。
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 22:35:17.49 ID:Naqv58ceO
「つまり一握りのアイドルのさらに一握りが『アイドル』を名乗ることしか許されない。そんな世界に辞めたいなんて思っている子が入ってきても続かないわ。貴重な学生時代を費やすならもっと自分にあっているものにすべき、違うかしら?」

正論だ。今の私の体に直接塗りたくられたらさぞかし染みて痛みで叫んでしまうであろうほど正論だと思う。

なにも返す言葉がない事を察したのか彼女はまた口を開く。
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 22:43:17.25 ID:Naqv58ceO
「そういえば、一つ間違ったことを言ってしまったわね。アナタとまったく関係がないというのは誤りだわ。だって私はアナタの先輩だものね」

まとまりきらない自分の気持ちをなんとか形にしようと考えていた時、私の耳に予想すらしていなかった言葉が耳に入り思わず聞き返してしまう。

未央「……先輩?」
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 22:50:33.89 ID:Naqv58ceO
衣装の袖が汚れてしまうかもしれないかなどとは考えずに、ゴシゴシと湿った目から余計な水分を拭き取りクリアな視界で彼女を見た。

話しかけられてから今まではっきりとは見ていなかった彼女の顔は、とても綺麗だった。

丁寧に手入れされていることが一目見ただけでわかる長い黒髪、意志の強さがうかがえる大きな目にシャープな鼻筋。
以下略



17:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 22:57:23.03 ID:Naqv58ceO
未央「黒川……千秋さん?」

そう言うと彼女、黒川千秋は僅かに驚いたような表情を見せた。

千秋「あら、知っていたのかしら。」
以下略



18:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 23:05:03.16 ID:Naqv58ceO
普段ならばミーハーな気分もあいまって、物怖じせずに千秋さんに積極的に話しかけられたのかもしれない。

でも、今は無理だった。

むしろ千秋さんと自分との差が余計に心を沈めるだけで。
以下略



19:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 23:09:13.51 ID:Naqv58ceO
千秋「……ねえ」

そんな気まずい無言が私たちを包むのかと思ったとき千秋さんがまた口を開いた。

千秋「さっきアナタ言ってたわよね」
以下略



20:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 23:13:17.59 ID:Naqv58ceO
千秋「ここの特設ステージのことを『こんな小さなステージ』って」

未央「言いましたけど……」

予想していたものとは大きく異なる言葉が投げかけられて戸惑ってしまう。
以下略



21:名無しNIPPER[saga]
2015/02/15(日) 23:19:35.86 ID:Naqv58ceO
千秋「この場所を押さえてくれた人も、ステージをセッティングしてくれた人も、本番の演出をしてくれた人も、アナタたちのレッスンをしてくれた人も、そしてアナタたちを見るために足を止めてくれた人もいるの」

未央「はい……」

千秋「だからその人たちのために今日のステージを投げ出したまま終わらせることは許されないわ。」
以下略



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